ことばの面白さと魅力を4名の言語学者が紹介する
★★★★★
前著『ことばの宇宙への旅立ち』の続編としての位置づけの本。
前著と同じで、主として中高生を読者対象にし、「言語学」という学問を
学んだことがない人たちにも分かりやすくその魅力を伝え、興味深い
ことばの世界に誘う本である。いわば、言語学の入口に向かわせるための
本といってもいいかもしれない。
確かに高校生段階では「言語学」という学問は学ぶことはほとんどないと
思われる。それにも関わらず、大学入学の際に言語学を専攻することを決める
学生は、「何となく」「イメージで」選んでいる場合も多いと思う。
このような易しい内容で、言語学の内容や魅力を紹介することは、言語学の
概要の紹介になるとともに、言語学の裾野を広げることになり、
非常に意義のある試みだと感じる。
また、執筆者も大津由紀雄氏、酒井邦嘉氏、日比谷潤子氏、池上嘉彦氏という
日本の言語学界のそうそうたる4名が担当し、ご自身の学生の頃の経験談や、
ご研究の内容で中高生が興味を持ちそうなことを、平易に著わしている。
語られている内容は、言語習得、脳科学と言語学との関係、言語変化、意味の世界
と幅広く、本書の趣旨からいっても興味ある分野から気軽に「とりあえず」
読んでみるのがいいと思われる。