あったまる本
★★★★☆
「プレイ」との表記では、いやらしさがつきまとうが
中身は、心あったまるものだった。
手遅れにならないうちに、心が大人になってから親のありがたさに感謝するのではなく
いまからでも、「プレイ」感覚でもいいから親孝行をしてほしいとの著者の思いがこめられている。
文章からも、みうらじゅんさんがどれほど母を慈しみ、感謝しているのかが伝わってくる。
ほとんどの人間にとって、親は、なかんずく母親は特別な存在だ。
たしかに、まだ人間ではなく怪獣のようだった赤ちゃん時代からずっと守り、見守り、育ててきたのだから。
言葉が分からず、泣きじゃくる中でも、ご飯を与え、風呂にいれ、オムツを代え・・・。その労苦と密着は、その後、どんな人のと出会おうが
埋まらない、深い関係であることは間違いない。
ゆえに、早く、親が元気なうちにできるだけの親孝行をしよう。本書にこめられたこのメッセージがとても心に残った。
親孝行は誰もが大事だと思うが、あらためて、こうやって本に出して、論じることは少ないだけに
興味深く読ませていただいた。
特にこころに残ったのは下記の文章。参考までに。
●思春期や反抗期というのは、その事実に気づきかけたところで「オレは母親なんか好きじゃない!」と
必死にその考えを振り払おうとする時期だとも言えるのである。P163
●ロックに限った話ではない。仕事でも家庭でも趣味でも女遊びでもいい。とにかく
「よし、オレはやるだけやったぞ」という達成感を得た者でなければ、永遠に親孝行の
道は開かれない。逆に言えば、そこまでやれば後に残ったやるべきこととは、もう
親孝行しかないのである。P169
ヨシ実践・・・
★★★★★
プレイと称して楽しく親孝行する方法の教科書です。
悪く言えば偽善、よく言えば型から入る善行です。
私自身もヒトに好かれるためにいい人を演じ続けていたら
いつの間にか本当に心の中からいい人になっていた経験があります。
ちょっとした無茶や気遣いをするだけで家族全員が幸せになることができるのです。
ただ、みうら氏の実体験を元に書かれているので男性視点です。
「嫁が旦那の実家でどうすべきか」という項目は大変役に立ちました。
できれば女性が異性の親に孝行をする場合についても知りたいです。
彼はやっぱりロマンティストだ。
★★★★★
『親孝行プレイ』とは、「心が伴ってからでは親孝行も手遅れになることがある」
をコンセプトに、プレイの一環として親孝行を実践しようというものだった。
そう、SMプレイとかと同じようにだ。
死とはたぶん崖のようなもの。まだ、その崖が見えてない内はいくらでも
「死にたいね」などと余裕があるが、だんだん見えてくるに従い、屁放り腰になる。
親孝行とは、そんな屁放り腰な親をこちらに向かせ、少しでも崖の恐怖を和らげる行為だ。
(中略)
いずれ誰しもが落っこちる崖であるが、一人ぼっちで落ちる宿命を誤魔化し、
誤魔化し生きるのが人間の知恵というものだ。
是非とも、手遅れにならない内に『親孝行プレイ』を実践して頂きたい。
(「文庫版あとがき」より)
年末は家に帰るか、、、
★★★☆☆
中に書いてある親孝行に、
それぞれの家族を掛け算して、
それを半分くらいで割ると、
良い親孝行ができるような気がしました。
『東京タワー』と読み比べ
★★★★★
著者はみうらじゅん。
これだけで読みたくなった人、
決して期待は裏切られません。本屋へゴー。
『東京タワー』が涙の親孝行物語ならば、
こちらは笑いの親孝行読本。
著者の親孝行への執念ともいえる
こだわりと研究と実験の結果が綴られています。
オススメは
第7章、友活用法。→いとうせいこう氏登場!
第8章、母親はいつまでも恋人。→オカン登場!
是非、『東京タワー』読み比べて欲しい一冊です。