「類別トリック集成」を収録
★★★★☆
▼類別トリック集成〔初出:宝石、昭和二十八年九・十月号〕
ここに集められたトリックは、偉大なる先人たちの思考の結晶であり、ミステリそのもののエッセンスです。
ミステリ初心者にとっては、ミステリ的思考のイロハを学ぶことができる貴重な論稿といえます。
以下、九つの大項目だけを列記しますので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を手にとってみて下さい。
1 犯人(又は被害者)の人間に関するトリック
2 犯人が現場に出入りした痕跡についてのトリック
3 犯行の時間に関するトリック
4 兇器と毒物に関するトリック
5 人及び物の隠し方トリック
6 其他の各種トリック
7 暗号記法の種類
8 異様な動機
9 トリッキイな犯罪発覚の手掛り
おしい!
★★★★☆
多くの専門作家が参考にしていた類別トリック集成にはぜひ目を通していただきたい。このような統計分類を現在では行ってくれる人は皆無だと言ってよいので、手元における内に手元に置いておいて欲しいと思う。多くのプロ作家でもこの類別トリック集成のトリックの変形、類型、種々の融合、組み合わせで構成されているものも多いのできっと作品を書く上での参考になってくれるだろう。ただし、発想が次々と浮かぶように集成は書かれていないので、其点を考慮して、あなたの執筆の気力が萎まないように、読むか読まないかは各自覚悟しておく必要がある。ミステリ小説作法研究用としては非常に、いや世界的に見ても屈指の書物に挙げてよいと思う。 現代でもこのような人がいれば・・・。まあ、所詮金持ちは利己主義が多いという歴史の証拠でもある。
エッセイとしても楽しめる
★★★★★
前半はやや評論・研究めいたものだが、後半からエッセイ調なのでミステリ
マニアでなくても楽しめる。昭和20年代のSFの受入れられ方も書かれて
いるのでSFファンにも非常に参考になる。乱歩先生を「アメリカのSFクラブ
に招待を受けて…」という人物が訪れたりしたらしい。
乱歩先生も「アメリカのSF界はそこまでいっているのか」と感嘆される
あたりも面白い。
今回の全集は編集者の注もかなり情報に富む。
類別トリック集成
★★★★★
乱歩が殊ほどさように執念を燃やした
推理小説に使われているトリックを体系しようと試みた
類別トリック集成が収められている大部
乱歩の推理小説への造詣の深さ
評論家としての懐の深さが
感じ取られるすばらしい作品です