シルク王が失踪、彼の妹は軽井沢で殺害、加えて1人の日本人青年もシルク王が失踪した地で殺害され、その動機と犯人を推理させる内容。旧日本兵が主要登場人物の1人になっている。
なお、細部がお粗末。これは著者だけでなく、出版社の責任でもある。下記の程度のチェックができなくて、何のための編集者であろうか?
① 上巻P.51に、表札に「Miss」と入っていないのは用心のためと思われた、との記述があるが、Mr.やMissは敬称であり、自分で表札に入れるような文化は無い。②「野菜屋」との表現があるが、常識的に「八百屋」であろう。
(参考)松本氏が参考にした『ジム・トンプソン――失踪の謎』(ウィリアム・ウォレン著、吉川勇一訳)はシンガポールの出版社(エディシオン・ディディエ・ミレー(EDM))から英語版、日本語版ともに出版されているが、日本では入手困難。『失踪』はなぜこのタイ・シルク王(ジム・トンプソン)がタイに定住するに到ったかの説明、タイ人の民族性、さらに当時の東南アジアの政治状況などの分析にまで及んだ、ミステリーとしてだけで無く文化解説書として実に素晴らしい傑作である。
巷で『砂の器』が話題になっている頃に、あえて選んだのですが、今度こそは『砂の器』を読んで、著者のすごさを体験したいです。
実際にあった、タイのシルク王(ジム・トンプソン)の失踪事件を元に書かれた本です。レビューにある通り、壮大なスケールで書かれているのですが、風呂敷を広げすぎた感は否めません。上下二巻に無理矢理収めたようで、下巻の謎解きの場面は飛躍が多すぎると思います。上巻でぐいぐいと引っ張られたのに、最後に筆者が読者を突き放してしまったようで残念です。着想もとても面白かったんですけどね。
でも、もしこれからマレーシアに行く予定がおありでしたら、これを読んでおくことをお勧めします。キャメロンハイランドが1.3倍ぐらいは楽しめると思います。