ぶんぶく堂
★★★★☆
直木賞受賞作品
父が亡くなり、父の実家に引っ越してきた慎一
同じ頃転校してきた春也
二人は、いつも学校の帰りに「ブラックホール」と名付けた罠にかかるヤドカリを見に行った
偶然見つけた場所を秘密基地にして、そこでヤドカリを飼うことに…
よくある小学生の遊び… の、はずだった
ある時から、この秘密基地に鳴海が加わるようになり、3人のバランスが少しずつ崩れ始める
3人が心に抱える「闇」
それぞれが交錯し、もつれ始め…
読後は重いです
柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★☆☆
【第144回直木賞受賞作】
「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」
鎌倉に近い海辺にある父の実家で、死亡した父親の実家で祖父と母親と暮らす慎一。
同時期に越してきた春也と岩場の陰に罠を仕掛け、小魚やヤドカリを採って遊んでいた。
やがて2人はヤドカリを神様に見立てお願い事をするようになる…。
◆ここで描かれるのは彼らの持つ閉塞感。子供のもつ残酷さや不安定さ。自分の力だけではどうにもならないことによりササクレだって行く心…といったもの。
他愛ない願いはやがて歪んで、自分でも止められなってくのです。
この描き方はさすがですよね。彼らの心の痛さも、切なさもとても伝わってきます。
また残酷に扱われるヤドカリですが、それは彼ら自身の象徴でもあるのでしょう。
そういう事もあって、どうしても読後感は重め。ミステリではなくとも読ませる上手さもありますし、これがこの作品の持ち味なので、読み応えありですが…。
でも、そろそろ私は驚くようなミステリも読みたいかも。
柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★★☆
●9月新刊●
「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」
鎌倉に近い海辺にある父の実家で、死亡した父親の実家で祖父と母親と暮らす慎一。
同時期に越してきた春也と岩場の陰に罠を仕掛け、小魚やヤドカリを採って遊んでいた。
やがて2人はヤドカリを神様に見立てお願い事をするようになる…。
◆ここで描かれるのは彼らの持つ閉塞感。子供のもつ残酷さや不安定さ。自分の力だけではどうにもならないことによりササクレだって行く心…といったもの。
他愛ない願いはやがて歪んで、自分でも止められなってくのです。
この描き方はさすがですよね。彼らの心の痛さも、切なさもとても伝わってきます。
また残酷に扱われるヤドカリですが、それは彼ら自身の象徴でもあるのでしょう。
そういう事もあって、どうしても読後感は重め。ミステリではなくとも読ませる上手さもありますし、これがこの作品の持ち味なので、読み応えありですが…。
でも、そろそろ私は驚くようなミステリも読みたいかも。
泥の河?
★★★☆☆
優等生な雰囲気でうまくまとまった小説なのですが、宮本輝のデビュー作「泥の河」をかなり彷彿とさせます。あの小説も蟹に火をつけるところがあって、その描写が素晴らしかった!母親が船で客を取っている子供と、その子と友達になる少年の話。あの独特の深い空気感が今でも忘れられず、そのせいか、「月と蟹」はもうちょっと心情を深く書き込んで欲しいな、というところがあったかもしれません。
柊舎《目指せ、1日1冊!》
★★★☆☆
●9月中旬発行予定●
「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。
行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。
子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!