9・11のトラウマが消えないアメリカでの同時多発物流テロ。
そして未だ平和ボケから抜け出ない日本での、原油を盾にした東京湾テロ。
フィリピンに帰国した「ジャパゆきさん」が生んだ日比混血児の行く末。
現代に生きる船乗りたちの家族の肖像。
人種の坩堝アメリカ合衆国に生きるイスラム圏出身者の心理。
これら、非常に興味深いテーマが、最後にリンクしきれていない。
「あれ、あの話は、どうなったの?」
「あの登場人物は、最後に何も絡まないの?」
といった疑問が本を閉じた時に残りました。
このような素晴らしい素材、無駄にせずに、もっと推敲を重ねて
欲しかった。