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夜歩く (角川文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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文句なしに夢中で読める! ★★★★☆
 フロシキを広げるだけ広げて、きちんと畳み、そこに意外性を織り込んで、最後にできれば余韻とか人生訓とかいう付加価値を入れてくれればOK。
 これがいわゆる探偵小説という「読み物」の王道だと私は勝手に思っているが、本書は付加価値こそないものの、フロシキだけは十分すぎるほど広げてくれていて、本当におもしろかった。とくに第一の殺人事件の部分が秀逸。おいおい、どこまで広げちゃうの、って感じで、私はページをめくる手が止まらなかった。
 本書については「アンフェアだ」と他のレビュアーの方が書いているが、たしかにそういう一面は否定できない。しかし、ヒマつぶしに時間を忘れて楽しめるという点では、最高の「読み物」のひとつだと思う。なにしろ、坂口安吾の『不連続殺人事件』を意識したかのような軽い語り(ごく簡単な場面描写とセリフだけで全編が貫かれている)は読んでいて、てんで疲れないしね。
横溝正史の最高傑作 ★★★★★
横溝ミステリの多くには視点のブレが見られ、感情移入しづらいのが難でした。
しかし、一人称形式のこれは読み手に迷いが生じず、すんなり物語に入り込めます。
作中人物の視点だけあって、大げさな語りもありません。
文章は安吾の名作に範をとったといいますが、完成度はこちらが上でしょう。
日本刀のトリックあたりの丁寧な描写に、作者の熱気が感じられます。
金田一耕助の登場場面も、他の作品より雰囲気があっていいですね。
どちらが先か ★★★★☆
旧版の解説には、高木彬光の「刺青殺人事件」が先に発表され、トリックで先を越されたため、「夜歩く」を最初から、練り直したと書かれているが、これは間違いである。
「夜歩く」は昭和23年2月号〜24年12月号まで「男女」(のちに「大衆小説界」と改題)に連載された。
「刺青殺人事件」は昭和23年6月に書き下ろしで刊行されたので、ストーリーを練り直したとすれば、途中からである。
さらに同じ高木彬光作の「能面殺人事件」が昭和24年4月に書き下ろしで刊行された。
ここでもトリックのタブリがある。
「刺青殺人事件」では、サブトリックのダブりがあり、「能面」ではメイントリックでダブりがある。
このあたりのこともあっての「構想の狂い」という言葉を理解すべきだろう。
そんな情報を知った上で3作を読み比べてみると、さらに新しい発見があり楽しむことができるだろう。
どう見るかが問題の作品 ★★★★★
これは倒叙の本格推理小説としてみると余りに卑怯な小説である。
この本では犯人を推測することは恐らく不可能だと思われる。

しかしながら、トリックに関しては考察する余地がある。
また、サスペンスや愛憎のストーリーは『ハつ墓村』にも決して劣らず、娯楽作としては完成度が高い。

本格推理小説としては邪道ともいえる代物だが、別に本格推理を謳った小説ではないし、一作品としては文句なしに五つ星物だと言える。
横溝作品では、これが一番面白いね。 ★★★★★
横溝作品では、「獄門島」を別格として、本書が一番面白かった。
作者が1人2役以外の「顔のない死体」のトリックに挑戦した作品で、アンフェアとかの批判もあるが、そんなの無視してとにかく楽しめる作品だ。要は本格ものと考えなければいい。

金田一は後半になって初めて登場するが、本書の金田一は横溝作品中、もっとも神がかり的といっていいくらいの名探偵ぶりを発揮しており、最初は語り手にボンクラのように思われていたのが、段々とそうでないとわかってくる様が面白い。
最後にあっと驚かされる点でも、横溝作品中、髄一といってよい。