1巻の終わりに登場した犬の騎士・東雲半月。自称正義の味方で多少クセはあるものの好青年の部類に入る半月は夕日の兄貴的存在になり、人生や大人について色々と教えるようになります。しかし同時に彼の存在は「魔法使いによる地球の破壊を阻止した後、自分の手で地球を破壊する」姫・朝比奈さみだれの目的の障壁となることは避けられず、いつか来るだろうその時に、夕日と半月のそれぞれが覚悟を決めていく課程が見られます。
　また、この巻ではさみだれが地球の破壊を企む理由が明かされたり、終わりの方になるとかなりヘビーな内容が展開されるので、読むならその辺は覚悟しておいて下さい。

　むしろ勢いは強まっています。
　宇宙というビックスケールに位置するビスケットハンマー、それが功を奏しているのでしょう。
　少しずつですが確実に、物語のスケールが拡大しています。

　絵も結構こなれてきて、台詞回しもますますノリにノッて、漫画自体のレベルが少し上がったかも。
　新しく出たキャラクターも、敵か味方かわからない曖昧さがいい味を出してます。
　間違いなく、三巻も購入します。

　ただ一つだけ。
　気に入らないのか、単に悲しいのか……、自分自身よくわからないのですが、そういう大展開がありました。
　まぁそれについてはネタバレになりますので書きません。
　買った人だけ分かってくださいな（汗

　惑星を壊す物語は、ようやく「始まりの終わり」も通過し、他の騎士達も登場し始めたところ。
　魔王とその従僕たる雨宮夕日の戦いが激化するのかと思いきや、さみの父親が帰ってきたり、
狗の騎士東雲の一目惚れエピソードがあったりと、相変わらず、肩の凝らないするギャグも多し。
いい感じで脱力させてくれるので、これはこれで読んでいて面白い。
　かと思いきや、泥人形との戦闘や、自らの手で惑星を砕こうとする主人公二人の思惑など、
シリアスなところはしっかりシリアスに行き、、この辺りのバランスが秀逸。

　加えて、何度か出てくる「前の戦い」なるものや、泥人形が姫ではなく、騎士を狙ってくる事、
そして二人が夢の中で会っている場所が、実は○○○などと謎も多く、先の展開が気になるところ。
　上手いストーリーテリングっぷりで、今後の話が大いに愉しみ。

かなり馬鹿で正義な味方が東雲半月。
彼の人となりを通じて物語の主人公たちは色々なことを学ぶ。

自らの手で地球の破壊を望む『姫』こと朝日奈さみだれ。
姫に仕えることを誓う雨宮夕日。
それぞれが偏った何かに縛られており、
そのことが悪いと気付きながらも自論で自らを正当化する。

そんな中で二人が東雲半月から得たものとは？
大人というものを観て感じて、二人は少し、あの頃とは変わっていく。


レビューとしては少しエキゾチックな書き方をしてしまいました。
笑いあり馬鹿ありエロありな話ではありますが、
その中で、『みせる』暖かさと、そして少しだけ悲しい、
そんなものを与えてくれた『惑星のさみだれ』第２巻でした。

この作者の描く世界は、美少女系アニメほど安っぽくなく、かといって現実のフィクションを書くアニメほどは堅すぎません。
この絶妙な設定がとても気に入っています。
一度、買わずとも古本屋ででも少し読んでみては如何でしょう。

彼の他の作品、「げこげこ」「散人左道」も同様です。