自己の存在の定義と自己の行動の定義
★★★★☆
人間が鮮やかに染められる事件が次々と生じる。「犯人が誰かわかっている。それを証明して欲しい」と主人公のもとを訪れる。
自己の存在を定義すること、そして自己の行動を定義すること。基準を設ける上での線引きは、曖昧性を伴うものであり、そこには主観的なものも客観的なものも余り差がないのかもしれません。
「どんなに正常な人間でも、あるいは、どんなに規則正しい生活をしている人間でも、ときとして、自分の生き方、自分の人生、さらには、人間の歴史、人間の将来に目を向けるときがある。まるで自然を見つめるように、自分を見つめ、そして、その中にいる小さな存在として、自分位置を感じる一瞬がある。そういったとき、その圧倒的な孤独感から、自分の生命も含めて、あらゆる存在を、宇宙的な視野から見下ろしてしまう感情が生まれる。ごく自然のことだ。つまりは、タイミングの問題でもある。そのときに、たまたま、手に拳銃を持っていれば、それでなにかを破壊してみようと思いつくかもしれない。あるいは、ペンキを持っていれば、めちゃくちゃに色を塗りたくなるかもしれない。なにも持っていなければ、酒でも飲んで寝てしまうだけかもしれない。違うかね?そもそもが、我々人間は、そういった揺れ動く存在なのだ。今までレールの上を走ってきたからといって、ずっとレールから外れないと思う方が、どうかしている。そちらの方が不可解だ」
Vシリーズ完結
★★★★☆
Vシリーズ完結で,あぁまた読み続けなければいけないのかと考えたり。なんだよ,へっ君。君かよ・・・
最後でいろいろ集結して,でももう会えない人もいっぱいいそう。
Vシリーズの終焉。最後は色シリーズ。
★★☆☆☆
Vシリーズ第10弾は色にまつわる殺人事件。しかし、小説に模した殺人事件とか、替え玉とか、結局、殺したかっただけという結末。最後は警察相手にドンパチ騒ぎ。シリーズの最終回にしては少々お粗末かと.でもまあ、最終回なんてどんなドラマでもつまらないですからね.最後に四季シリーズへの謎掛けを残しておいて、この次のシリーズもよろしくってあたりのファンサービスは心憎い演出でしょうか。残念ながら、Vシリーズは今ひとつだったかな。
わかる人にはわかるが…
★★★☆☆
実は本作でVシリーズとS&Mシリーズのつながりがわかるようになっているのだが、これが結構
わかりづらい書き方をされてるので、知らない人はそのままスルーしてしまうだろう。
もっとわかり易いものを期待していただけになんとも残念。
今回のトリックそのものはもはやS&Mシリーズや「魔剣飛翔」のような驚愕トリックは出てこない。
どちらかというとミステリーとしては地味過ぎというか、そもそも本格ミステリーとも呼べない
ようなものだ。犯人像の推測についてもわかるようなわからないような説明なので、釈然としない
まま終わった。
逆に他のレビューにあるとおり、人間ドラマ(といったら大げさだが)の方は結構ページを割いてい
る。S&Mとは違う方向性でキャラの描き方に重点を置いたのがVシリーズだったんだな、と感じた。
シリーズとしての評価
★★★☆☆
S&Mシリーズに続くVシリーズ最終章。次のシリーズの複線らしき話でもある。
このシリーズの特徴として、トリックや動機の意外性よりも、なじみのキャラクターの感情の機微に重きが置かれている。彼らの心情や行動は繊細に描かれており、世界に没入して読むには非常に楽しめる。
その反面、本格ミステリを求めて読むとやや消化不良に感じるかもしれない。