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ミノタウロス (講談社文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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小児科医杉原のお薦め ★★★★★
残忍.気分が悪くなりました、というコメントもあると思いますが
戦争を直視する、という意味では良い教科書になりうると思っています.
天才マルクスがいくら立派な理想をとなえても、現場ではしょせんこんなもの.
それは過去だからではなく、第二次世界大戦も日本のみならず、どこでもそうだったろうし
いまだって、中国によるミャンマー、アフリカ諸国の紛争も同じでしょう.
願わくはここから私たちが、何を学ぶか.どんな世界を作りたいのかということにつながれば・・・

殺人を法律で犯罪とする国は多いですが
戦争を犯罪と法で定めたところはありません.
評判がよい作品だったので購入しましたが ★★☆☆☆
 残忍さがあるということは前提にしながらも、文学的価値がありそうで、しかも、書評家の評判も高かったため、購入した次第。題材が合いませんでした。いやな気分が残る感じだけでした。
ピカレスク浪漫 ★★★★★
ピカレスクの語源は悪漢小説。
この小説の主人公、自由奔放に生きる地主の息子ヴァシリも見事な悪漢です。
とにかく密度が濃いです。時代設定も二十世紀初頭ロシアという知る人ぞ知る非常にマニアックな選択。
裕福な地主の次男として生を受けたヴァシリは、成り上がりの父を継ぐことを夢見て農業を学ぶも生来女好きな放蕩癖あり、下宿先の叔父の家の女中や故郷の娘とたびたび関係を持っていた。
しかしそんなヴァシリの運命はロシアに迫り来る戦火に煽られ風雲急を告げる。

強盗・強姦なんでもあり。
人倫を踏み外す行為全般に一切ためらいない主人公の破滅的生き様は凄い。
殺人や悪事に手を染めても一切心を痛めず自分を貫き生きるさまはいっそ清清しい。
良心の所在が人間を定義する必須条件ならヴァシリの生き様はけだものさながら自由で獰猛で野蛮。
常識に束縛されず倫理に唾し欲望に正直に生きるヴァシリはやがて脱走兵のイタリア人少年・ウルリヒと出会い意気投合する。
このウルリヒがすっごいいいキャラしてるんですよ!
ニヒルでいながらユーモアセンスに冴えて、飢えと寒さに苛まれたみじめな逆境でも軽口を忘れない。これにフェディコというびびりの少年をくわえ、やがて三人で盗んだ馬車を駆り、略奪と殺戮とどんちゃん騒ぎをくりひろげつつロシアを縦横無尽に奔走する帰るあてなき旅が始まる。
そんなヴァシリたちのやりたい放題の暴走ぶりを「おいおいそのうち因果応報天罰がくだるぞ…」と眉をひそめ読んでいくと案の定後半で…ラストは言わぬが華ですがああ無情なかんじです。天罰というか人誅のほうでしたが。ヴァシリは自業自得だけどなあ…ウルリヒ…。
文章の密度もかなり濃い。
主人公が初めて人を射殺するシーンは比喩の秀逸さに感動しました。
嗚呼美しい、官能的…ため息。
 
佐藤賢一さんの「傭兵ピエール」や森博嗣さんの「スカイクロラ」なんかが好きな方にもおすすめです。
理屈で読むものではない ★★★★★
 デビュー作からずっと読んできたが、初めて「私ってちゃんとわかっているのだろーか」という不安を抱かずに読了できた作品だ。ファンとしてこれほど幸せなことはない。読んだ後のそういう屁理屈を一切寄せ付けない。最初に2〜3ページ立ち読みしてみて(幸か不幸か、賞を受けたので書店に平積みされている)、文章の勢いにのれない方はさっさとおりた方がいい。行けると思った方は、そのまま勢いにまかせて最後まで読めば、それでいい。感情移入まではいかなくても、魅力に富んだ強情っ張りが山ほど出てきて、そのあたりが実に美味しい。
ヘタではないが名文とも思えない ★★☆☆☆
ロシアの田舎地主の馬鹿息子を主人公にしたノワールぽい文学。
会話文に「」を使わず、メリハリのある描写というよりは、
淡々とした説明がダラダラと続き、
ストーリー展開は早いんだが、
主人公が糞なこともあり、
感情移入してのめりこめないツマラン文学。
第一次大戦やロシア革命の時代が好きな人にしか受けないだろう。
広大なロシアを舞台にしてるのに、
偶然の出会いが多すぎないか?
これよりはドイツものの、
皆川博子 の『死の泉』 の方がまだまし。