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天使 (文春文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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『雲雀』も合せて読みましょう ★★★★★
今まで小説を読んできて面白い小説はたくさんありましたが、
ずっと心に残るもの、となるとそんなに多くはありません。

この作品はずっと心に残ると思います。

確かに難しいです。
第一次大戦前後のヨーロッパ史の知識は必要だし
登場人物の立場や人間関係の説明は殆ど無し。

しかし、それでも読まずにはいられない魅力が溢れています。
とにかく個性的な登場人物達。
そして美しい「感覚」の描写。能力者同士の戦い。主人公の力。
説明が無いのは、それだけ緻密に物語が創られているから出来る事だと思います。

あと、今まで超能力というのは「五感+α」だと思ってましたが、
生まれながらにそんな能力を持っていればその能力の方がメインになるのは当然だな
と感じさせられました。

最高の超能力もの。映画化されたらいいなと思うけど、無理でしょうね。
『雲雀』と2つで1つなのでこちらも必読。
やはり、稀に見る完成度を誇る傑作 ★★★★★
単行本で何回も読みかえしているにもかかわらず
つい文庫本を衝動買いして読み耽ってしまった。
やはり、稀に見る完成度を誇る傑作である。

決して取っ付き易い小説では無い。
ライトな「サイキック・ウォーズ」を期待していた読者は
物語に唐突に差し込まれる「登場人物」や「時代背景」、
そして「感覚」に面食らい、立ち止まってしまうだろう。
まずそこに物語世界へ読者を誘おうとする親切心を
欠片も感じることができないからだ。

ページをめくれば、スタイリッシュかつ
贅肉をぎりぎりまで削ぎ落とした「高貴な」文体が
寄り道することなく物語を前に進めていってしまう。
放棄したくなる気持ちも判らないではないが、
読み慣れてくれば、これ程小気味良いスタイルも無い。

この作品の章毎の盛り上がりには、こういった外見的特長に加え
独特の感覚描写の巧みさが挙げられるだろう。
安く云えばエスパー同士の闘いが、幼稚な劇画に陥らないのは
肉体に結びついた確かな感覚描写があるからだ。
そういう意味でドライなスタイルは男性的だが
極めて女性的な作品であるとも云えよう。
電子辞書を握り締めて徹夜で読了 ★★★★★
知識の足りない分を補いながらでも理解したい、この先どうなるのか知りたい、読みたいと思って進んでいたら、気がついたら朝でした。

読めない漢字がたくさん出てきました。何て読むのか分かりたい、筆者が何を描こうとしているのか理解したいと思いました。

読み終わった今は、時々取り出してDVDでお気に入りチャプターを繰り返し見直すように読み返しています。どこを取り出しても、私にはとても鮮やかです。

中学生の時にコバルト文庫のSFなんか読みましたが、超能力者が出てくるティーン向け娯楽テーマを最上級に高級にしたら、すごい作品になっちゃった、というのが私の読後感想です。読書家を自認する、10代20代ににぜひ読んで頂きたいです。面白くてやめられませんし、青春成長物語としていろいろなところで男女とも共感して読めると思います。

女子心が求める素敵な主人公描写、いいです♪とても上質でロマンティックな漫画に出てきそうな登場人物達。でもそんなすごい漫画は多分絵では描けない。それを小説にしたような感じです。しかし決して安くて簡単ではありません。重くて最高級です。電子辞書、要ります。漢検2級じゃまだ足りないかも。でも読んじゃう。
非常に面白く、非常に不親切な小説 ★★★★☆
佐藤亜紀の小説を読むのは初めてだ。難解という評を読んで、ある程度は覚悟していたが、非常に面白かった。
何と言っても、「感覚」の描写は素晴らしい。他人の頭の中を読み取り、支配し、殺しさえできる、この常人にはない能力を「見る」「触る」「突く」「撫でる」等、アクションを意味する動詞を駆使して表現する。SFは随分読み散らしてきたが、超能力に関してこんなに独創的で見事な表現を読んだのは初めてだ。
感傷のない、ドライな文体は、初めとっつきにくく感じられたが、慣れればすらすらと流れるように読める。伏線は縦横に張り巡らされ、キャラクターは魅力的だ。面白い。
ただ、これだけ面白い小説なのに、一方で物語がよくわからないのだ。世界史の授業を受けてから何年もたっている。正直言って、この時代の、この地域についてはほとんど何も知らない。ジェルジュがウイーンからベオグラードへ向かった、と言われても頭に浮かぶイメージは何もない。ベオグラードがどこにあるのか知らないからだ。「汽車でどこかへ行ったんだな」でしかない。それがわかる人向けにしか書いてないと言われればそれまでだが。
隣の部屋から聞こえてくるテレビの、音声だけ聞いてるような感じだった。面白い話なのはわかるが、映像がないのでちゃんと理解はできない、といったような・・。
この忙しい時代、読書を中断して背景知識を検索する読者が何人いるだろう。
せめて、第一次大戦当時の、この地域の地図が一枚ついていれば、と思った。
難解だがとても面白い小説 ★★★★★
第一次世界大戦期のヨーロッパで「感覚」を持つ青年ジェルジュの戦いを描いた小説。
ひどく難解でした。ジェルジュの持つ超能力を「感覚」として理解するのが大変。しかも作者の性質で、時代背景を一切説明しないので世界史の知識が必須。佐藤亜紀の小説を読んでいると高校で世界史をとっておくべきだったと後悔する。第一次世界大戦前後の世界史を読む前に勉強しておくといいかもしれない。
難しい背景を理解しきれなくともこの小説は面白い。主人公のジェルジュが才能を開花させていく過程は読んでいて面白いし、ジェルジュを育てる顧問官のかっこよさも読んでいて楽しい。佐藤亜紀作品は美男美女ぞろいなので豪華な小説を読んでいる気分になる。顧問官に命令されそれに従うジェルジュの構図はすごくつぼにはまるので呼んでいて本当に楽しいのだ。
ジェルジュが行うのは諜報活動なのでスパイ小説さながらのスリルも味わうことができる。感覚を使ってピンチを切り抜けるジェルジュは本当にかっこいい。感覚を持つ敵と対峙したときの描写は非常に難解だが、雰囲気だけでも楽しめないことは無い。ちゃんと理解できて読むことができるのなら、最高に面白いところだと思う。
読むのが大変な小説ですが、読んだあとの達成感ときたらない。再読を重ねてちゃんと理解したい小説でした。