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鬼の跫音

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川グループパブリッシング
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短編でこそ感じる狂気。 ★★★★★
道尾氏の短編集は、私の知るところ、3作あるが、すべてにおいて、
完成度はとても高い。

個人的には「光媒の花」が一番好きであるが、これは、
連作短編集という意味での完成度が秀逸であったからである。
(ご興味ある方は拙私のレビューをご覧ください)

短編そのものを評価した場合、今作中の「ケモノ」「冬の鬼」「悪意の顔」
は、甲乙つけがたいほどのお気に入りである。

ちなみに、「花と流れ星」に収録の「流れ星の作り方」も秀作である。

これは、氏のテイストがそれぞれの短編でいかんなく発揮されており、
いささか冗長気味で、懲りすぎた表現・比喩に彩られた長編より、
他作家にはない、インパクトを強烈に感じたということに他ならない。

今作だけでなく、3作ともに読んでいただくと、長編にはない、
道尾氏のあふれんばかりの才能と、他作家との差別化を実感できる
のではないかと、強く思う次第である。







うまくなったなぁ ★★★★☆
向日葵の咲かない夏を読んだ時は、稚拙な文章・強引な展開・オチ、すべてに苦笑しました。
なんでカマドウマ!?っていうかみなさん、そんなに良かった?
以来、道尾作品は敬遠しておりました。
で、今回短編集とのことで、久しぶり読んでみたら・・・!
う・・・うまくなってる!!すべて!!
人物、背景描写、設定、すべて以前の稚拙さが消え、大物漂う描写に驚愕!!
短編なのに!
この人こんなに上手かったっけ!?と驚きで何回も読み返してしまいましたよ。
特に大好きなのは、よいぎつねの若い僕が女性を襲う直前の描写。
僕の狂気が伝わって、なんとも言えない気持ちになりました。
あと冬の鬼の主人公の描写、哀しみが終始漂って、この本のタイトル見ただけで何だか泣きそうです。
初の短編集 ★★★★☆
著者、初の短編集
6本のホラーミステリ短編を収録

最後に、全てが反転する秀作揃い
基本的には陰惨な事件の話が多かった

本来は普通の人だった
しかし、ある種の状況が普通の人を「鬼」へと変容させる
極限のテーマを極限の文体で描き出す力作―底知れぬ魔力!? ★★★★★
  長編小説『シャドウ』、『向日葵の咲かない夏』、『龍神の雨』、そして『カラスの親指』よりも、わたしは彼の短編小説により大きな魅力を感じます(長編では『球体の蛇』が個人的には最もよい)。本書は2007・8年に書かれた6つの短編が所収された著作ですが、短いなかに濃密なドラマが凝縮した読み応えある素晴らしい作品群となっています。タイトルからしてなんだか独自の雰囲気を発している。また本書で採用している文体も印象的です。

  本書への評価として「素晴らしい」という表現はもしかしたら適切ではないかもしれませんが、「凄みある」内容であることはたしかです。むろん、「好み」の問題はあるでしょう。それはどんな作品についてもいえることです。ただ、あるテーマについていわば極限まで思考を燃焼させ、決して到達してはいけない次元にまで行き着いたとき、こんな作品群が誕生するのではないでしょうか。まずは著者の思考プロセスへの理解(共感?)が必要でしょう。作品の評価は少なくともそれを踏んだあとで行うべき営為です。

  誰の心の奥底にも<鬼>が住んでいる、そしてその<鬼>と真正面から対峙し、極限ともいえる文体で赤裸々に抉り出す。本書は「素晴らしい」し、「凄みある」のですが、更にいえば、本当は知ってはいけない内面を容赦なく突きつける「畏怖」なる作品といえるかもしれません。他のレビュアーには「最高傑作」と称するもかたもいますが、あながち間違ってはいないでしょう。読者を深く、もっと深く沈めてゆくような<底知れぬ魔力>をもった内容ばかりです。一読するだけではその作品の真意がにわかに掴めないものもある。強烈でした。読了後も無意識のうちに呟く自分がいます、「Sって結局、誰?」。

帯の文句はないほうが良かったね ★★★★☆
これは面白かった。
あまり道尾秀介をはじめて読む!にはおすすめしないし、
中でもグンを抜いて面白いよ!ではないのですが、
今までの「道尾秀介の作品だ」という意識を抜いて普通に面白い短編集だったと思います。

全体的に暗い話ばかりです。暗い話好きなのでよし。
けしてホラーではないけど。
怖い話を期待して読んだわけではないので特になんとも思わなかったのですが、「あまり恐くなかったよ!!」というレビューがあったので、その人はそれを期待したんでしょうな。
確かに帯の文句やタイトルや表紙はそんな感じではありますね。
ってこれホラーサスペンス大賞の作品だったのか…

「悪意の顔」は中でも良い作品だったと思いますね。
不思議でふと出てくる人間の暗い部分だとか、それが見え隠れして面白かった。
中では「ケモノ」が好きでしたけど。

ただ、帯にあったような登場人物のSというのが全部の短編の共通点なんですが、単純にSなだけで特に意味はないです。
なんでこんなズレた帯で煽ったのかしらね。出版社は嘘つきさんですね…よくあることなのでいいけど。
でもそれを期待して、なんだ別に意味じゃないと読者に思われたら、せっかくの本の評価が下がるっつーことは頭にないのかしら。