小説のジェームズ・ボンドも最高にクールです。
★★★★★
007/ジェームズ・ボンドは、映画ではたくさん見ていましたが、原作は、初めて読みました。いつか読んでみようと思い立って随分になりましたが、漸く読めたことで満足感は大きいです。「カジノ・ロワイヤル」は3度映像化されたそうです。3度目の、ダニエル・クレイグがボンドを演じた作品が原作に沿っていますが、時代背景を大幅に変更しています。脚色が抜群に上手いというのが原作を読んでわかりました。原作が書かれた頃は、東西冷戦ですから、相手はソ連のスパイということになります。これが強いんですね。西側陣営を公務員スパイと読んでいます。ソ連は、恐怖で操っているので、前に進むんだ方が安全なのだと。敵から飛んでくる弾は外れる場合があるけれども、後ろから飛んでくる弾は100%命中する。だから、ソ連のスパイは強い、と。ギャンブルを利用して、敵を沈めるというのがこの物語の面白さで、それに加えて、冷徹な凄腕の007が出来上がるまでが描かれています。小説は冒頭に物語の背景を読者に説明しますが、カタカナが多く、まだ007シリーズに慣れていないとそこが面倒な感じでした。そこを通り抜けると、最高のエンタテイメント小説を味わえます。これは嵌りそうです。
ボンドの原点!
★★★★★
007シリーズの出発点であり原点である本作『カジノ・ロワイヤル』。ストーリーは映画版のアクションシーン(爆弾犯追跡や空港でのカーチェイスなど)を抜き取った感じで進行します。じゃあアクションがほとんどないのならちょっと地味な話になるのでは?と思う方もいるかもしれませんが心配ご無用です!カジノでの対決シーンは作者フレミングさんが見事な表現力で描いており読むだけでその緊張感が伝わってきますし、映画よりもきちんとした丁寧な解説がちょこちょこ入るのでポーカーやバカラなどカジノのカードゲームに詳しくない人でも安心して読み進めることができます(^^)映画とは一味違った『ボンド誕生』を描いた本作。きっと満足できる作品ですよ。
人間味豊かなジェームズ・ボンドの原点を知っておくなら是非とも一読を!
★★★★☆
西村京太郎作品における十津川警部シリーズのドラマ放送版のあるシーンで、彼の妻が自分たちには子供がいないことをどう思っているかを尋ねたところ、彼は「それはたしかに寂しいが、君と出会えたことでひとまず人生良しとしたい」と語った。ボンドと共に資金係としてカジノに参加した美しき女性ヴェスパー・リンドとの出会いとその結末は、私には、上述された十津川警部のセリフとなぜか響き合った。全27章の個性的なタイトルも読者の注目を惹くことであろう。
ボンドに与えられた007(ダブル・オー・セブン)の「00」とは、たとえば裏切り者を二人殺害することで得られる称号だ。彼の任務は冷酷さを要求されるものが多く、着実に職務を遂行するボンドの姿勢にはある種の無機的な印象が付きまとう。とはいえ、「解説」にもあるように、本書は「ジェームズ・ボンドという秘密情報部員が、外部からの刺激を受けてひとりのスパイとして完成するまでの物語」であり、人間的で情感溢れる男の魅力がよく描かれている。少なくともボンドを「無敵の英雄」視する固定観念は、本書によって修正されるに違いない(007の原点である作品であるゆえに、私自身、できるだけ丹念に読むよう心掛けた。あいにく「古さ」はあまり感じなかった)。
映画を通じてお馴染みのアクション場面がほとんどないのは残念であり、2006年に公開されたD・クレイグ主演の迫力(アクション)・緊張感(カジノ)・哀愁感(エンディング)に富んだ映像のインパクトが大きかっただけに、物足りなさはつきまとった。1953年という原書刊行時から半世紀を経ているからのだからむろん仕方ない面はある。原著から映像という順序であれば逆の効果が得られただろう。他のレビューにあるように、映画とセットで楽しめるし、それによって作品をより深く理解できよう。邦訳の出来栄えもよい。新版前にすでに60刷を重ねていることもやはり驚異だ。
ご都合主義に興ざめ
★★☆☆☆
ダニエル・クレイグの映画を見たあとで読んでみました。ボンドがスーパーマンであるのは、これは約束事ですからいいとして、ご都合主義にはしらけます。荒唐無稽な物語りもそれなりに筋が通っていればおもしろい。が、これはちがいます。
おなじスパイ小説で、おなじイギリスの作家のもの、たとえば、グリーンの「ヒューマンファクター」、モームの「秘密諜報部員」とくらべてみれば、どれほど本作が稚拙であるか、はっきりするでしょう。ボンドシリーズがベストセラーになって、優雅な人生が送れる。なんともうらやましいお人ですなあ、イアン・フレミングというひとは。
映画とセットの本だと思います。
★★★☆☆
先に映画を見てから、本を読んだのですが、映画がかなり原作に近くできているのにびっくりしました。
この本を読むと、映画では理解できなかったところや、ボンドがどんな人なのかということがよくわかるような気がします。007映画ファンは必ず読んでおくべき本だと思います。
ただ、私的にはジョン・ガードナーやフリーマントルの作品と比べてしまうとストーリがあっさりし過ぎてちょっと物足りなさを感じてしまいました。
映画とセットで楽しめる本ではないでしょうか。