FROM A VIEW TO A KILL
★★★★☆
5つの短編が収録。
「薔薇と拳銃」はフランスのパリを舞台にしたボンドの活躍を描く。ヒロインのキャラがたっていて、なかなか面白みがあった。
続く「危険」は映画ユアアイズオンリーの後半の原作となっている一作。麻薬組織壊滅にボンドが挑む。
上記二つは長編のボンド小説の活躍を1シーン切り取ったような作品になっている。個人的には結構楽しむことが出来た。
「読後焼却すべし」はユアアイズオンリーの前半の原作。この作品はボンド小説第一弾「カジノ・ロワイヤル」以来、「復讐は許されるのか」というボンドとMの善悪に対する倫理観が語られ、重みと深みのある一作となっている。
最後の二つ「珍魚ヒルデブランド」と「ナッソーの夜」。
両方ともアクションはない。ボンド小説に人気が出て、人間ドラマのような小説を書く機会がなかった作者が、ボンドを通して人間ドラマなどを深く描いた2作である。
特に「ナッソーの夜」はボンドは話の聞き手。その話はある夫婦の話なのだが・・・。
あまり前評判が良くなく、期待せず読んだせいかかなり楽しむことが出来た。
少なくとも映画ユアアイズオンリーだけでも見てから読むと、よりいっそう楽しめるだろう。