嵐の前の新展開
★★★★☆
新シリーズの9冊目。
久しぶりに時系列が先へ進み、視点も王女たち……と言うよりは、サファイヤ姫に戻ってきます。
ちょっと驚いたのはここまで来てもあまり物語が進展せず、別の挿話が始まったこと。
次が完結編のはずなので、残り一冊きりでこの大群像劇をまとめきれるのか、少し不安になってしまいました。
それはともかく、本作の中心となる「死をうたう少年」のエピソード自体は魅力的。
サファイヤ姫をじっと見守る夢の中の友だちの、ちょっと切ないお話です。
シリーズの終盤ではあるものの内容的には独立性が高くて、これだけ読んでもあまり問題がなさそうでした。
単独で評価する分には、ほぼ満点の一冊でしょう。
ただ長期シリーズのクライマックスとしては不安要素を感じてしまったため、一点だけマイナスしています。