解離性同一性障害となった患者さんには申し訳ないが、非常に興味深い
★★★★☆
幼少時からの様々な虐待により解離性同一性障害(多重人格)となった女性を
1つの人格に統合するまでの出来事を、その主治医の視点から記録したもの。
解離性同一性障害は、耐え難い苦痛・体験から自身を守るために、
その体験を自分とは別の人格に肩代わりさせることから始まるようですが、
同じ体にいる別の人格がやっていることを知らなかったり、
別性(女性だったら男性)の人格が存在していたり、
治療の過程で分裂した人格たちが脳内上?想像上?で部屋を作って、
それぞれの人格が別々の部屋で過ごしていたり、必要時にはそれらの
人格が1つの部屋に集まってミーティングをしたり、...
と、わたしの想像力を超えた「現実」が起こっていたようです。
人間に、潜在意識とか無意識といった部分があることは以前から言われていますが、
このように肉体的には1つの個体なのに複数の人格を持ちうる、ということは、
人間の意識というのが私たちの理解を超えている仕組み・構造を持っているのですかね?
あと、本書を執筆した主治医は精神科医ですが、この患者が来院する1989年まで、
解離性同一性障害の患者を診たことが無かったとのことです。
割と近年まで一般的に認知されていなかった病気だったということも意外でした。
星は4つと致しますが、医師の視点から客観的に書かれたもので十分な信ぴょう性が
あると思いますし、また非常に興味深く読めましたので、興味がある方は是非。
解離性同一性障害になられてしまった方へ。
解離性同一性障害の苦痛はわたしには分からないのですが、
適切な指導と自らの努力で回復することは出来るようです。
治療には長期間かかり、また治療自体辛い過去を思い起こすなど非常に大変なようですが、
それらの方々が一日も早く元気になられることを祈念します。
解離性同一性障害を扱った日本の医師の本が出ていますので、こちらもご参考まで。
マイナスエネルギーを浄化する方法 精神科医が明かす、心の不調とスピリチュアルの関係
最後になりますが、結構虐待のシーンはエグイので、ご注意ください。