全体は、マクロ、基礎知識、トレード実践の3編で構成され、大局的な見方や、商品の特性を学んでからトレード、という流れになっている。マクロ編では、意外と知られていないことが多く興味深い。先進国は穀物においても「持てる国」であって輸出国、日本のトウモロコシの輸入は世界一といった内容は、一般教養として役に立つ。また、長期的な穀物需要予測についてかなりの紙面が割かれているが、これもトレードに必須であるのみならず、知っておいて損はないだろう。
基礎知識編では、穀物メジャーの話や、ブラジル、アルゼンチンの増産が急ピッチであること、特にトウモロコシ生産が33年で25倍になったという事実などを示され、知識をアップデートする必要を痛感する。また、天候に注意するべき時期やエルニーニョの影響など、新聞のニュースだけでは分かりにくい点も解説されている。
トレード実践編では、円安(高)による価格変動はどのくらいか、といった初歩的な説明から、ブレイクアウト、RSI、季節性戦略などの実践的な投資手法の紹介と検証が行なわれ、すぐにトレードに使える内容となっている。
60問60答形式で書かれているため、短い時間で区切って読み進めたり、後で事典的に用いたりと使いやすい。 (河野 幸吾)
こうした本は、他にも出版されていそうでされていないので、非常に重宝します。トレード実践編は、いろいろなテクニカル手法を紹介していますが、「ガソリン灯油」「貴金属」に比べると、穀物は「これが使える!」という手法が少ないような気がします。それだけ市場が成熟しているということでしょうか。
統計は見やすく、文章は平易でわかりやすいので、穀物のことを基礎から学ぶには非常に価値ある1冊です。