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一瞬の光 (角川文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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   橋田浩介は一流企業に勤めるエリートサラリーマン。38歳という異例の若さで人事課長に抜擢され、社長派の中核として忙しい毎日を送っていた。そんなある日、彼はトラウマを抱えた短大生の香折と出会い、その陰うつな過去と傷ついた魂に心を動かされ、彼女から目が離せなくなる。派閥間の争いや陰謀、信じていた人の裏切りですべてを失う中、浩介は香折の中に家族や恋人を超えた愛の形を見出していく。

   著者はデビュー作である本書で、「人は何のために生きるのか」「人を愛するとはどういうことか」という大きな問題に取り組んでいる。観念的になりがちなテーマを軸にしながらも、背景となる企業社会を残酷なまでにリアルに描くことで、地に足着いた存在感のある物語を作り上げた。無慈悲な現実の渦に見え隠れする感動、生きる喜び。そうした一瞬の光を求めてがむしゃらに生きる一人の男の姿が、そこにはある。

   ロングセラーになった『僕の中の壊れていない部分』(2002年刊)に比べると、性描写が粗く、文体もまだ定まっていない感がある。古風な女性観にもやはり疑問は残った。だが本書の魅力はそういった批判を超えたところ、懸命に生きる人間の輝きをすくい上げようという、作品に込められた熱い思いにあるのだ。終始冷静で理知的な浩介が本当の気持ちを叫ぶ場面、著者の思いがページからあふれ出し、読み手は心を打たれるだろう。(小尾慶一)

ごめんなさい、自分には合いませんでした ★☆☆☆☆
都心のマンションでドンペリを空け、福沢諭吉をシュレッダーに突っ込む。そんなバブリーさが却って貧乏くさい。作者のコンプレックス丸出しの描写は、読んでいて苦痛。こういう世界観の上に作られた恋愛物語に、感情移入の余地は全く無し。

その一方で、社内力学に関する描写は結構面白く読めた。政界との駆け引きのシーンは外交インテリジェンスに通じる緊迫感にあふれていたし、橋田が社長に刃を突きつけて辞表を出すくだりは、この本の読者の多数派であろうフツーのサラリーマンにとっては、一服のカタルシスとなるだろう。

かなりの長編だが、上の要素だけで社会派小説として十分成立する。もちろん、それはこの作品の本来の主題である「無償の愛」を否定することと同義だ。世間の評価が高いことを考えれば、自分の趣味の方向が違うのだろうと納得せざるを得ない。
直木賞作家のデビュー作品 ★★★★☆
東大法学部卒のエリートで独身。経済的に充分な余裕もあり、モデルのように美しく、献身的に尽くしてくれる婚約者がいる。普通の男だったらこっちを選んじゃうよな。それが直属の上司の失脚や、香折が意識不明の重体となったことで、人生の優先順位が大きく変化していく。これを機に自分の気持ちに正直に生きることを選択した。あの後、香折が意識を取り戻したのか、どのような人生を送ることとなったのかは想像できない。世間一般の幸せは、言うまでもなく瑠衣と一緒になることなのだろうが、価値観は人それぞれ違いますもんね。やや現実離れした構成ではありますが、読み応えのある一冊でした。
一瞬一瞬を生きることを選んだ男の物語 ★★★★☆
38歳、東大卒のエリートサラリーマンが、ある20歳の女性との出会いを堺に、
違う人生を歩き始める…

その女性は、家族による虐待に傷つき、自分を愛せずにもがき苦しんでいる。
彼女の苦しみながらも自分をおもいやる気持ちに触れ、彼は
全てを捨て、彼女を請け負っていく。

仕事に関するエピソードも面白い。
文章も読みやすく、ボリュームがあっても気にならない。
惹きつける力のある、物語だと思う。

ただ、登場人物の女性たちを見て、いかにも男性から見た女性たちだよな〜、という
感をぬぐえない。
なので、☆4つ。
現代盤「人間失格」的な..... ★★★☆☆
直木賞作家 白石一文のデビュー作である本作.
読み終えての感想を一言で言うと「きれいな物語」である.

過去に何があった訳でもない主人公が,いつの間にか会社の権力闘争に巻き込まれ
エリート街道を邁進していく中で,だんだんと心に闇を抱えていく,
そしてその男が見つけた新しい愛の形.

そういった情景が,淡々とかつ的確に書き連ねている.
何か太宰治の「人間失格」に通じる物を感じられる文学作品だとは思った.
だた,また読みたいと思える作品かと言われるとそうではなく,
何年後かに読み,新しい作品の素晴らしさを感じられる可能性もないように思えた.

期待していただけに少し残念.
アンバランスさ。 ★★★★★
直木賞受賞おめでとうございます!

「一瞬の光」を当時読んだときのインパクトはもの凄かったです。
今回の受賞に伴い、過去に読んだ事のある作品を読み直していますが
何度読み直しても、「一瞬の光」を読み終えた直後はボーっとしてします。

白石さんの描く世界は、頭で分かっていてもどうしようもない人間の部分がうまく描かれていると思います。
人は誰でもアンバランスであり、だからこそ魅力的なのだと思わせてくれますし
きっと誰もがそうなのだろうと思います。
そして、私はそこを分かち合える友人や恋人がどれほどいるのだろう、とも考えてしまいます。

賛否両論になる、設定の「ありえないだろ」の部分については
実際にエリートで顔の良い主人公のような男性はいると思いますし
美人で何も不自由の無いルイのような女性もいると思います。

作品の中で、彼らは与えられている事が多すぎる分、与える事に自分の価値を見いだしています。
人生何でも器用にやって来た人たちが、不器用になる瞬間に人間らしさを感じます。

香折も主人公との出会いが短いながらも、初めて生きる喜びや
自分の存在価値を認めてくれた主人公に、精一杯愛を与えたいと思う程まで成長していきます。

人を想う事の大切さを教えてくれる作品です。