萎えた足、老いた体が見せてくれるのものは、道端の春であったり
木々の間のきらめきであり
そう遠くない日、自分も向かうであろう場所に
旅立ってしまった友人達と過した時間は
さらりとして、でも濃密な優しさと一種共犯者的な感覚で
思い出される。
季節が移り変わるように、人の一生も様々な名残を残し
晩秋から冬へと移り変わってゆくが
衰えてゆく身体とは逆に、精神は自由な飛翔を始める
老いというものに削ぎ落とされた人間の本性は
何と自由で広がりがあるのか
こういった境地になってみたいものである
「人は成熟するにつれて若くなる」とは
とても言い得たタイトル
令名高い、『湯治客』もここに収められています。