の人柄がよく現れているとも言えるだろう。最後にロ-マを去るに当たり、1人の詩人の詩でもって締めくくっているのは圧巻だ。
「シチリアなしのイタリアというものは、われわれの心中に何らの表象をも 作らない。シチリアにこそすべてに対する鍵があるのだ。」「ヴェズヴィオ山が真正面に見えている。流下する溶岩は太陽が疾っくに沈 んでいるので、真紅の焔を上げ、そこから立ち昇る煙はすでに金色になり
始めていた」など美しい描写が続く本書の一読をぜひ薦めたい。