物流担当者以外にもためになる本
★★★★☆
この本の良さは、旧態依然とした物流方式がもたらす問題点について
実際のケースを思い起こさせながら指摘し、それらを解決する新しい概念に関して、
概念を説明するだけでな非常に実務的な視点から説明を加えていること。
従って非常に納得感がある。
ABC(活動基準原価計算)などの概念も組み入れてあるし、
コンパクトで安価な書籍として非常にお得感が味わえる本であった。
特に物流担当者以外の方の勉強テキストとして、役立つのではないだろうか?
物流の新たな視点
★★★★☆
「物流は注文を売上げに変換する役割を持つ」よく聞く言い回しであるがその重要性と一方ではその実情が分かりやすく書かれている。現実は製造と販売の理不尽がぶつかるところと定義しているところも面白い。ベースにあるのはTOC(制約条件の理論)である。とすると当然行き着く先はSCM(サプライチェーンマネジメント)になる。理論的には既にあるものであるが、それを如何に現実に落とすかという部分に実務家らしい指摘がある。肝は「みえる化」であり、そのツールとして物流ABCと日数による在庫管理を挙げている。これらにより必要な在庫数と必要なアクティビティが明らかになるというものだ。ただこれらは「見える」ようになっても、改善するためには物流部門だけでは解決できない。生産における生産計画との同期化、販売における販売計画との同期化と顧客サービスの再定義など、全社を巻き込み全体最適で取り組まないと活きてこない。まさにSCMの取り組みそのものである。物流部門から見て製造及び販売部門に対してものを申すための理屈を与えてくれている。またそのように物流部門がもの申していかないと企業が強くなれないことを教えてくれる良書である。
「トヨタ生産方式」の導入に失敗した人たちへ
★★★★★
ちょっと真剣に物流をかじった人なら分かると思いますが、物流管理を突き詰めていくと「トヨタ生産方式」と似たような領域に入ってきます。そして、一般的な企業がトヨタと同じことをしようとすると、たいてい失敗に終わります。コンサルタントの指導を受けているあいだは真似できても、指導者が去ってしまうと現場のタガが一気に緩んでしまうからです。
このような導入の難しさを指して、多くの人が “トヨタのDNAは特別だ”といった解説をしますが、言葉遊びのような表現にマドわされてはいけません。ただ単に、トヨタは当たり前のことを誰よりも熱心にやり続けられるのに対して、一般的な企業にはそれができないだけの話です。言い換えれば、当たり前のことをやり続けるための“武器”(組織や人事制度、過去に培ってきた人材の蓄積など)を持たない企業がトヨタ生産方式を導入しようとしても、上手くいかなくて当然なのです。
では、どうすればいいのか。
トヨタとは異なるアプローチで、当たり前のことを追求するしか道はありません。
物流コンサルタントである著者とトヨタの発想は、まったく異なるようにみえて実は酷似しています。「物流をやらない」ことこそ究極の物流管理であるという共通の考え方にそれがあらわれています。トヨタの場合は、あらゆるムダを省くことでこれを実践しているわけですが、そのための手法はきわめて属人的です。一方、この本の著者は「物流ABC」と「在庫管理」という「物流管理の二大技法」を、物流を見直すきっかけに使おうとしています。
ようするに、本書の最大の特徴は、トヨタ生産方式よりずっと明快なノウハウで、物流管理を高度化する道を説いている点にあります。著者の主張に納得するかどうかは読者しだいでしょうが、一考の価値はあると思います。(ま、当たり前のことをやり続ける難しさは、どのような手法を採用しても同じなんですけれどね)
アクティビティ単価での物流費計算
★★★★☆
物流管理に興味があったのですが、専門書はハードルが高く、
中身が理解できていませんでした。
この本は、そういった初心者である私にもわかりやすかったです。
特に「アクティビティ」、
バラピッキング・ケースピッキング・ピッキング移動・値札貼りの
それぞれの単価を使って、
顧客ごとのコストを算出している事例は本当に参考になりました。
顧客ごとに物流コストに応じた利益が出ているのか検証する役に立ちそうです。
その他、コストをどう検証していくか、
入門として非常に参考になる本だと思います。
理に適った物流がわかる!
★★★★☆
物流管理改善の第一歩にして最も肝となる実態の把握ができるようになります。
作業・在庫・サービスを、時間・数量・コストなどの数値で表すことで、
物流を可視化し、最適化を図るよう、促してくれます。
物流管理としての内容は☆3つですが、著者の講演会でのやり取りが面白く、
読者を鼓舞してくれるので☆4つとしています。