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動機 (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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描写がすごい ★★★★★
 四篇とも、読み応え抜群でした。
あれ、これって伏線かな・・・と漫然と思っていたものが、
予想外かつ衝撃の展開を遂げて、目も覚めるようでした。
やはり、横山作品は何が起こるのかまったくわかりません。
それに描写のしかたもすごい。
「勢い」があって、引き込まれずにはいられません。
 「動機」に収録された作品は、どれも男らしさ(一部女性が主人公のものもありますが)が
存分かつ大胆に描かれていて、そのせいで読んでいる側が興奮を覚えてしまいます。
しかもその陰には、人間の悲哀や苦悩といったものが濃厚に描かれている。
 作品内のトリックも、ただ読者にこびを売るためではなくて、そうした「人間らしさ」を
描くための小道具にすぎません。
それが、たった70ページほどの短編小説たちの作品世界をうんと広くしてしまう。
「逆転の夏」が特にそうだと思います。まるで長編小説を読んでいるような感覚に浸れました。

 余談;「クライマーズ・ハイ」で横山作品が気に入った方は、
ぜひこの小説も読むべきだと思います。
横山秀夫の短編小説もまた、すばらしいということがわかるでしょう。
短編集でも内容は厚い ★★★★★
長編でも短編でも横山秀夫の魅力は十分発揮できることが分かりました。特に短編だからこそ、人間の心の移り変わりがはっきり描写されており、ドキドキ感が高かったような気がします。本書は4編で構成されていますが、お得意の警察ものだけでなく、弁護士や新聞記者、そして元犯罪者まで色々あります。特に元犯罪者が主人公の「逆転の夏」は絶品です。横山ワールドを堪能したい方必読です。
事務系警察官を描かせたら右に出るものはいません ★★★★★
表題作は、短編集『陰の季節』の4作と同じくD県警シリーズの一作。このシリーズは管理/事務部門の警察官を主役としているところが独特である。

警察内部で起きた警察手帳の大量紛失事件。息詰るような警察組織の内で、独力で犯人探しをする事務系警察官の奮闘を描いた表題作は文句なしの傑作だと思う。『陰の季節』も良かったが、表題作『動機』はそれを上回る出来だと思う。『陰の季節』では、出世、保身、策略といったものがあまりにも前面に出ておりやや殺伐とした印象があったが(それはそれで良いのだが)、本作では、そういったものを描きながらも、それだけではない、もう少し人間的な「動機」も描いており、何とも言えない読後感の良さがある。

他の3作もやや女性の描き方が不自然な気もするが、それなりに面白い。

警察官、裁判官、新聞記者といった世間的には高度な職業倫理が要求されていると思われがちな職業人達も、実は世俗的欲望に基づいて行動しているんですよ、という横山作品の原型がつまった良質短編集だと思う。
素敵な描写 ★★★★☆
警察モノはピカイチですね♪
その周辺の人たちの,細かな描写が素敵。
どの短編もクオリティが高く、それぞれに苦悩する人間(主人公)が描かれています。 ★★★★☆
本書は4つの短編からなっています。どの短編もクオリティが高く、それぞれに苦悩する人間(主人公)が描かれています。

それぞれの短編の紹介をします。
動機:30人分の警察手帳が盗まれた。警務課の貝瀬がその原因を突き止めなければならない。刑事課との対立など見所が多い。最後は家族がキーポイントとなるのか。
逆転の夏:元服役囚で、現在葬儀会社に勤める山本が主人公。ある日、カサイという人からある人を殺したいという内容の電話があった。それから事が進むのである。私がいちばん好きな作品である。
ネタ元:地方紙の女性記者の水島真知子が主人公の話。女性記者の苦悩がでている。
密室の人:判事である安斎利正が主人公の話。ある日、公判中に居眠りをしてしまい、寝ぼけて愛妻の名前をつぶやいてしまった。安斎は責任を取らされることになる。