わたしは猫を飼っていて、この小説を読みながら、遊びたいがために邪魔しにくる猫を何度も何度も不思議な感慨をもってみつめた。「そのつど世界と関わりそのつど世界に送り返す生き方をしている猫」を。猫の方が自分(人間)より世界をずっと感じて生きてるんだよなあと思って、なんだか立派に見えた。
優れた小説はいつも新しい世界を開いてくれる。で、この小説も新しい世界を開く。でも、他のものと違って猫の世界に近づくことでーー。
『明け方の猫』は星5でよかったのだけれど、併録の『揺籃』がいまいちなので星4。『揺籃』は『プレーンソング』以前のもので、著者のデビュー前の作である。あとがきで著者も述べているけれど、この2作はどこか似ている。でも完成度は全然違うと思う。かなりスタイルも異なるし。