日本漫画史上最高作品と断言できる。これで泣かない人がいるなんて信じられない。
★★★★★
世紀の大傑作「ヒカルの碁」の愛蔵版。長らく漫画史上最高傑作と思ってきた(一応頂点に「生物都市」が君臨しているのだが、あれは神の作の別格と言うことで……)「マスターキートン」を軽々と越えてしまった大傑作。伊角との再戦でヒカルが泣き出した場面で泣かない人はいないだろう。今でもあのシーンを思い出す度に泣けてしまう。泣ける作品数あれど、思い出し泣きするのはこれだけ。
そんな大傑作なので、これを買う人達はコミックスを持っているはず。だからもうちょっと特典を付けてもらいたかったかな、というのが正直な印象。
人によっては、巻数を減らして値段を抑えるべきという意見もあろうが、巻数を減らせばその分一巻の厚さが増し、読む時に痛んでしまうのも事実。値段も、劣化の少ない上質紙と言う事を考えれば致し方なし。
少年が大人に変わっていく中で、大切なものを失っていく姿を、こうもすがすがしく書いた作品が他にあろうか。それが証拠に、伊角との対戦を境に、ヒカルははっきりと大人として描かれている。
左為という大才が世に出るのを、自分が潰したという後悔に苛まれていたヒカルにとって、アキラの「ヒカルの中に佐為という別人がいる(た)」と看破した言葉がどれだけ救いになったことか。だからこそ、夢の中で、ヒカルは左為と面と向かえあえたのである。
とにかく全編泣き所満載。
ストーリー、絵共に文句無し。小学館の漫画賞はだてではない。未読であればぜひ読むべき作品。これを読まずして何を読む。
バトンタッチ(扇子だけど)
★★★★★
伊角さんの熱意で発見した佐為。これこそが歴史の力、努力の力、自力と他力の融合。顔つきが引き締まって素敵な仲間たち。そして微笑みとともに渡される扇子。
成長を祝福され、自らの力で歩みはじめるヒカル。これは塔谷に、しっかりとライバルとして評価された証拠。
ライバルとともに神の一手に近づく決意。
成長の羽が開いた瞬間、我もかくありたいもの。
お腹いっぱいになる一冊。
名作、ここで一旦終了と議論が巻きおこったのもうなずけます。
第一部、完結!
★★★★★
ヒカルの碁の中でも、名シーンが多い巻です。
中国から戻ってきた伊角さんが、「ここから始めたい」とヒカルに碁を打つことを望むシーンは、
これまでとは明らかに表情が違う伊角さんがよく伝わってくる名シーン。
その直後、碁を打ち始めて、いなくなってしまった佐為が自分の打った碁の中にいることを感じて涙するヒカル・・・これも名シーン。
桑原本因坊が戻ってきたヒカルを見て、「囲碁を打つには二人いるんじゃよ」と指摘するシーンも名シーン。
プロになって初めての対決で、塔矢アキラがヒカルの打つ碁にsaiを発見するシーンも名シーン。
そして最高なのが、夢の中に佐為が出てくるシーンです。
このシーンを読むと、とにかく泣けてきます。