このシングルはそのオアシスの記念すべきデビュー・シングル。曲の冒頭で高らかに鳴り響くドラムは、これから何かものすごい事が起こる嵐の前触れ的な不気味さすら感じるシンプルかつ驚異的なイントロ。バンドの中心はギターの兄ノエルとヴォーカルの弟リアムのギャラガー兄弟だ。兄ノエルのずぶとさと繊細さを持ち合わせたメロディがオアシスの魅力。それに輪を掛けているのがリアムの「人を高揚させられる」声である。
当たり前のようにインディチャート1位を獲ったこのシングルはシングルというよりは、むしろミニアルバムだ。普通、新人の場合A面一曲なかなかいいものが出来ていれば、ばんばんざい。ところがどうだ、この「スパーソニック」にはもうすでにシングルにすることができる曲ばかりだ。このシングルのコロンビアはdullながらもパンク・サイケの両方を混ぜ、それをノエルのギターソロでしっかりとまとめている。アライブ、アイウィルビリーブとこのCDでしか聴けないオアシスの隠れた名曲もしっかりと入っている。全体的に演奏も録音も粗いが逆にそれがパンクロックの良さを引き立てている。
その「音」で特筆すべきはノエルギャラガーのギターセンスである。全体的にジミヘンを思わせるギターソロが作品全体の大きな味付けとなって、本当にかっこいい。