統一ドイツ初代大統領の言葉と生涯を知るために
★★★★★
本書は、統一ドイツ初代大統領のリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーの演説とその多くの人の心を打つ言葉を獲得するにいたった彼の歩みを、凝縮された文章で、かつ、様々な角度から客観的に論じた本です。ヴァイツゼッカーへの否定的な意見や考えも余さず紹介しているけれども、全体としては彼に好意的です。
政治学者でもなく歴史学者でもない、説教者・牧師が書いたという点に、本書のユニークさがあると思われます。
『荒れ野の40年』の題名で知られるヴァイツゼッカーの演説が最も有名であり、本書もこれを読むことから論を展開しているところが高く評価できます。というのも、この演説にこそヴァイツゼッカーがどのような言葉を語るかという一つの急所が表れているからです。