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シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 光文社
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進化の謎に一歩迫る ★★★★☆
進化発生生物学という新しい理論にもとづいて、さまざまな進化−形態の変化を説明している。人間とチンパンジーの遺伝子は4%ほどしか違わないのに、なぜこうも異なる生き物になるのか。あるいはたった一つの細胞である卵から、なぜさまざまな体のパーツが出現してくるのか。発生は大いなる謎だった。しかし、ツールキット遺伝子という、ある遺伝子が作用するタイミングや場所をコントロールする遺伝子の存在がその謎を明かしつある。それは、進化論をより堅固なものにしている。ただ、難点をいえば、一般書としてはやや難解なところ。グラフィックを多用するなど工夫が欲しかった。また、終盤にある進化論を否定する聖書原理主義者たちに対する怒りは、理解できるけれども、感情的すぎて、せっかくの好著を台無しにしている。不要な部分だったと思う。
一様性による生物の多様性の画期的説明 ★★★★★
ダーウィンは自然界の生物の多様性に触発されて「種の起源」を表したが、皮肉な事にその後の進化論では現在の生物の多様性(形状、模様、サイズ等)を上手く説明できなかった。著者はこれを、進化学・遺伝学に比べ、発生学を疎かにしていたせいだとし、これらを統合した進化発生生物学(Evolutionary Developmental Biology, 略してエボデボ)に基づいて、上記の問題を解決しようとしたもの。

まず、発生を組み立てるツールキット遺伝子が種を越えてほぼ共通である事が示される。つまり、人も他の動物も体のデザインを決める遺伝子は共通なのだ。それでは、何故多様性が生じるのか。実はツールキット遺伝子を制御するスイッチ遺伝子が存在する。スイッチ遺伝子のon/offによってツールキット遺伝子が発現するか否かが決まる。シマウマの縞のような重複パターンに見えるようなものも、別個のスイッチで制御されるのだ。そして、スイッチ遺伝子は発生時の胚の状態で制御される。つまり、進化(形態の変化)とは胚の地図が変る事によって引き起こされるのだ。そこで、胚の地図が(突然変異で)微妙に変るだけで生物の多様性が生み出されるという仕組みである。発生学を取り入れたエボデボ理論の威力である。こうした説明が題名通り、シマウマの縞や蝶の模様あるいはショウジョウバエなどを使って丁寧に説明される。エボデボ理論の別の威力は、「進化が確かに起こった」事を示している点だと著者は言う。進化論を教えない州が数多く存在するアメリカの科学者ならではの感想であろう。また、人間の進化の過程が他の動物の進化の過程と変らないという事を示し、斬新な生命観にも触れる。

ツールキット遺伝子という種間で一様に持っている仕掛けから、発生に着目し、生物の多様性を見事に解明した画期的な書。