なんと繊細な声を出すんだろう・・・。
一曲目のA Thousand Beautiful Thingsの彼女の声で僕の胸が震えだす。

僕はAnnie Lennoxを聞いたことがなかったけど、Herbie HancockのPossibilitiesで
"Hash Hash Hash"という曲を歌う彼女の声に非常に強い印象を受けて、即座にこのアルバムを買って何十回も聞いている。
聞いている自分の気持ちを表現しようとあらん限りの言葉を探るのだけど、いつもの様には、その言葉が見つからない。
孤独、悲しみ、苦しみ、意志、希望・・・どの言葉もそれでこのアルバムのアニーの音的コスモスを表すには、十分じゃない。

彼女自身の言葉を借りる。
「悲しみや苦しみという心を痛みつけるネガティブな感情を認め、ポジティブな方向に向かって表現することで、
それらを変型させて自己浄化できると思うの。
そしてそれが結果として希望につながっていく、そういうことを表現したかったのよ」

「自分をさらけ出すことで、脆くて傷つきやすい”内なる世界”を描き出せたと思う。
それは人生経験によって壊されることはあっても、完全に打ち砕かれはしない。
私は人生の本質的な問題に向き合う成熟した一人の女性なの」

「ジャケット写真は、タイトルが示す通り、それは『裸の私』。そのイメージは永遠で、
性別にも人種にも縛られない。私は彫刻にもなれれば、霊体にもなれる。
インドの聖人にもなれる。つけまつげはパフォーマンスというものの虚飾性を表している。
言葉と音の源である唇の色は抜け、タイトルの赤にとけ込んでいる。
それは生命力と怒りを表すため。理解してもらえれば嬉しい」

同世代としても、いや同世代だからこそ、心に響く言葉である。
素晴らしい贈り物をありがとう、アニー。

アニーはソロデビュー作の『ＤＩＶＡ』で母になった。計り知れない深さと温かみを持つ彼女の歌声が哀しみを歌った。その時、アニーは艶やかな色を身にまとった美しい女性だった。そしてソロ３作目の本作で、アニーは一人の人間になった。虚飾を剥ぎ取った真っ白なメイクで、中性的なオーラを放つ彼女は年齢さえも超越してしまった。「人生の本質的な問題に向き合う、成熟した一人の女性」として自らを表現したアニーの、伸びやかな歌声と力強いビート、ままならない現実に苦しみながらも前を見据える歌詞は聴く人を勇気づけてくれるだろう。アニーのファンなら、そして『ＤＩＶＡ』を聴いてのっぴきならない感情に向き合った人なら、このアルバムの歌もまた心の奥底に響き渡るに違いない。

自分も、待って待って．．。
待っててよかったー。
ひさしぶりのオリジナルアルバムは、Diva以来です。もちろん、EurythmicsのPeaceも、とてもいいアルバムでした。
ファーストシングルの2.が、とてもキャッチーで驚きました。名曲入りです。7.もとてもいい曲です！
白塗りメーク、ちょっとビックリですけど、本人もいろいろ苦悩しているようですネ。

ユーリズミックスからずっと聴いています。ソロになってからも本当に久しぶりのアルバムでした。
歌声も昔聞いたまま。非常に深く、味わいのある歌声です。もう、かなりの年齢になったというのに自分自身も聞いていてその頃の自分にもどったかのような気分になれます。
７曲目は特にオススメです。是非聴いてみてください。

ただ、アニー自体非常に思い入れをもって作ったというジャケットは老いを感じてしまいました。（このサイトの写真とは違うのでご注意）

前作以来8年。飽きることなく『ﾒﾃﾞｭｰｻ』を聞き続け、待っててよかった！『ﾒﾃﾞｭｰｻ』以前のようなｶﾄﾞｶﾄﾞして強気なところはあまり感じられなくなっているけれど、魂が溶け込むようなﾒﾛﾃﾞｨの数々です。「原始」の思想を感じます。