どんなに便利な時代になっても、昔ながらのお菓子を家庭で
作り、伝えてゆければそれはとても素敵なことだと思います。
日本でも沢山の諸外国のお菓子を口に出来るようになりましたが
由来などはなかなか知る機会がないので、この本に書かれている
由来や、その地方のことなどは興味深く読みました。
レシピは著者がアレンジしたものにはその事が添えてあり、昔からの
お菓子という事で必要な材料も比較的手に入れやすい物が殆どです。
ただ、初心者には手順の細かい写真が無いことと、卵のサイズが特に
指定してないので何度かチャレンジする必要があるかもしれません。

　なんとも素朴で、いつも戸棚の中に作ってストックしておきたいような地方の焼き菓子のレシピの多さもさることながら、後半のお菓子にまつわるお話も、フランスとお菓子を愛する大森さんならではといった内容で楽しく読めました。「そのお菓子が生まれた土地で作り手の思いとともに食べる。これこそ地方菓子を理解する一歩」という著者の思いが詰まった一冊だと思います。
　前半のレシピは、その土地と結びついたコメントとともに、写真もすべて掲載されていて、「今まで名前は聞いたことあったけれど･･･」という焼き菓子や、「この地方ではこんなお菓子が人々に好まれ食べられているのね」と、お菓子好きの方なら一気にこの本でまた新たな発見ができるのではないでしょうか。