三国に平和を!走るソニン、そして・・・旅立ち
★★★★★
シリーズ最終巻です!
この巻では今までのお話の「総決算」とも言うべき「一大決戦」が起こります。
北の国 「巨山」と南の国「江南」が手を結びソニンのいる「沙維」に兵を向ける!若き王子王女たちの願いをよそに事態は悪化していき、一度始まった戦いは多くの 犠牲を生む。最後の決戦を前に、平和を願う彼らは決死の賭けに出る!父王を欺く王女、王女を信じて作戦を変える王子達・・・。それぞれの運命を決 する戦いの場に現れたのは王女の意を受けた「獣」!!
金と権力を求める支配層と、民の幸福を願う王子達の間の葛藤、それぞれの決断、そして、彼らに対する「民」の姿が描かれ、クライマックスではクワン王子とともに馬上の人となったソニンが走ります!!
結末は・・・若き王子王女たちが「春の祭り」の場で再び笑顔を交わす・・・その前夜で終わります。(笑)
第4巻ではソニンの前で心を開く王子王女達の姿が描かれていました。猛々しく振る舞う彼らが、何故かソニンにだけは本音を漏ら すという不思議な情景ではありましたが、相手がソニンだったからこその出来事の記憶は、彼らの中に「平和を願う心」として残 り、最後の戦いの趨勢を変え、平和をもたらすきっかけとなったのですね。
「巫女」としては落ちこぼれだったけれど、実は「巫女」という枠に収まりきらない存在がソニンだった・・・「天山の巫女ソニン」 という物語はそんなお話だったと言うことが分かります。
12 歳で天山を降ろされた「落ちこぼれ巫女」ソニンの3年間の物語は実に波乱に満ちたものでしたが、家族や友人の存在もしっかりと描かれるソニンの日常は暖かな視線 に満たされていて安心して読み進める事ができました。南から北まで、アジアのどこかの国を思わせるエキゾチックな雰囲気もあって飽きることもありません。
まだ読んだ事がないと言う方は完結を機会にぜひどうぞ。全5巻、まとめてお薦めしましょう!