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李白と杜甫 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,208
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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李白と杜甫の詩の良さがわかる ★★★★☆
第4章「李白の文学と杜甫の文学」が最も読みごたえがありました。作品がどういう風に優れ、どう読むとより楽しいのかということを情熱的に語っているからです。特に杜甫が「詩でしかうまく自己表現できない」「なんでも詩にしてしまう」という記述は面白いと思いました。

次が1章の「出合い」でしょう。よく考えてみると、従来の評伝では李白と杜甫の年齢差、出会ったときの顔があまりイメージされず、「偉大な詩人二人の出合」という形式ばった記述しかなかったような気がします。杜甫が永くしつこく李白を敬慕していたことがありありと浮かび上がってくるように感じました。

一方、2章と3章の伝記部分は、ちょっとひっかかるところが多いように思います。かなり異論を立てる人もいるのではないでしょう!か?
1200年も前の外国の詩であることを、なんとなく再認識してしまう本でした。

ところで、この本が最初に出た1972年には郭沫若の同名の本「李白と杜甫」が須田禎一訳で講談社から出版されています。原書は1971年11月、人民文学出版社刊行ですから、ちょうど日中で平行して同様な本が書かれていたわけです。こちらも面白い本ですが、なにせ文革前後ですから、「どちらが人民に近いか」「封建的か」とかいうスタンスが露骨で高島さんなら指弾するところかもしれません。

新しい詩人像 ★★★★★
 中国文学史上にさんぜんと輝く2人の大詩人。その2人のキャラクターを、史料に基づいて生き生きと再現させ、「ネアカ李白とネクラ杜甫」の言葉で代表するように、2人を見事に対比させながら、文学の本質に迫っている。文章は非常に簡潔かつ平易で、まるで目の前で講談を聞いているような楽しさも味わえる。漢詩をとっつきにくいと感じていた人も、この本でぐっと身近に感じられるはず。