次が1章の「出合い」でしょう。よく考えてみると、従来の評伝では李白と杜甫の年齢差、出会ったときの顔があまりイメージされず、「偉大な詩人二人の出合」という形式ばった記述しかなかったような気がします。杜甫が永くしつこく李白を敬慕していたことがありありと浮かび上がってくるように感じました。
一方、2章と3章の伝記部分は、ちょっとひっかかるところが多いように思います。かなり異論を立てる人もいるのではないでしょう!か?
1200年も前の外国の詩であることを、なんとなく再認識してしまう本でした。
ところで、この本が最初に出た1972年には郭沫若の同名の本「李白と杜甫」が須田禎一訳で講談社から出版されています。原書は1971年11月、人民文学出版社刊行ですから、ちょうど日中で平行して同様な本が書かれていたわけです。こちらも面白い本ですが、なにせ文革前後ですから、「どちらが人民に近いか」「封建的か」とかいうスタンスが露骨で高島さんなら指弾するところかもしれません。