音楽活動に伴うジャクソン・ブラウンの行動を知れば、彼の歌にそういったメッセージが込められるようになるのは、至極当然の事であったのだが、彼のファンの全てがそれを素直に受け止めることができたわけではなかった。
彼らが見たかったのは、世界情勢や自国の行く末を案じて悩むジャクソン・ブラウンの姿ではなく、私生活でもがき苦しみ悩む「いつも」のジャクソン・ブラウンの姿だったのだ。
このアルバムの視点をさらに広げた次作「ワールド・イン・モーション」で、ファン離れ!は決定的になり、90年代を迎える直前でジャクソン・ブラウンは一気に失速していまう。 「ファンの求めるモノと自分の求めるモノ」良くあるパターンだが、彼もそのジレンマに陥り、抜け出すことなく(というか、もうそこに安住してしまった?)ジャクソン・ブラウンは2000年を迎えてしまった。
と書いてはみましたが、彼の業の背負い方に少々暑苦しさを感じ、いわゆるジャクソン・ブラウンの名盤と言われている作品に対して、さだまさしの冠婚葬祭ソングのような「おいおい、そういう事を持ち出して人を感動させようというのは卑怯だろ」とチョット思っていたので(^^; 、私自身はこのアルバムはキライではありません、というかむしろ彼の作品の中でも好きな方。
タイトル・トラックになっている「!ライヴス・イン・ザ・バランス」は、彼の曲の中でも五指に入る名曲ではないかと思います。テレビドラマ「マイアミ・バイス」の中でも非常に効果的に使われていましたが、この曲の持つ静かな迫力というかパワーは凄まじい。 やっぱり、あの業の背負い方があってこそなせるワザなのか…