自分の経験に基づいた地デジ批判の本
★★★★☆
この本は、国の対応に問題意識を持っているか否かで評価が分かれます。
体制批判が目立ちますが、地デジ対応機器を導入するためのガイドの役目も果たしています。
こういうものが必要ですよ、今までの機器で使えないものもありますよ、なぜならば〜といったことから、
地デジ以外にも電波や接続端子の種類、録画の制限といった基本的な解説があり、参考になりました。
切り口が庶民的、かつ少々マニアックなところまで押さえてあって親しみやすいです。
難視聴地域の問題や、その対応格差は、携帯電話やネットの利用環境と同じような問題だと思います。
自分なりの結論としては、テレビへのこだわりを捨てれば精神衛生上よろしいということです。
リサーチの足りない間違いだらけの本
★☆☆☆☆
新しいシステム(しかも世の中に蔓延しているもの)に変更があったときには、メリットだけではなくもちろんデメリットもあるはず。そのあたりをきちんと解説している本なのかと思って手にとって見たが、間違い、勘違い、知識不足、リサーチ不足の感が否めない。まず「2009年8月現在16対9画面のもっとも小さい(地デジチューナー内蔵)モデルはシャープの16型で・・・」というくだりもあるが、エスケイネットのクレール(http://www.sknet-web.co.jp/product/dtv133jw/top.html)は13.3インチのハイビジョンタイプで2009年4月24日に発売されている。確かに「主要メーカーに限れば」と前置きはしているものの、主要メーカーに限って話をすることはこの本が語る「世の中すべてのテレビ視聴者を対象とした意見」とは矛盾を感じる。
また「なぜ地デジの放送をBSやインターネット等で流さないのか、インフラは完成しているのに」というのは「地デジを見るために今のテレビを廃棄して高い買い物をしなくてはいけないのは愚かだ」というような指摘と矛盾するし、BS放送の周波数帯に関して言えば、古くからある住居では敷設されているアンテナケーブルが適していなかったり(細いケーブルでは高周波はノイズを受けやすく、減衰しやすい。またアルミ等のシールドが無いケーブルであればノイズは顕著であるためBS放送には適さない)、分配器や壁のアンテナコンセントも取り替える必要も出てくる可能性もある。そのあたりも検討してUHFでの地デジになったという経緯をわかっていない。また「アナログでゴーストの出る地域ではUHFアンテナを立てても地デジが映らないというケースも多い」とはどんなデータを元に語っているのか。ゴーストとはそもそも反射波等で遅れてくる電波が画像を右にぶれて映す現象であり、弱電波地域であると言うことではなく、都心部ではゴーストの出やすい場所ほど地デジはバッチリ映るというケースのほうが多い。(※CATVなどでは逆にケーブルがアンテナの代わりとなり、正式な電波よりも早く受信する前ゴーストと言う現象もある。これは左にゴーストが出る現象)。また共聴システムなら、「送信元で地デジの電波をケーブルテレビのVHF周波数帯に変換して送出するだけのことだから、たいした出費ではないと思う」とあるが、この憶測は大きく間違っていて、少なくともきちんとしたところでリサーチを行った後に書いてほしかったと思った。なお、現在ではCATVや共聴アンテナ各社には、総務省よりアナログ変調放送をしばらく継続、もしくは新規に導入する努力義務を課している。
マイナスイメージを助長したり押し付けているような気がして(しかも間違っている情報も含め)お勧めできない。しかし、きちんと地デジのことを知ろうと思っている人には、一つの指標にはなるのかもしれない。間違っても書いてあることすべてを鵜呑みにしてはいけないけれど。
ただ一つ気になったのは、地デジ移行がテレビ視聴者のためだ、なんて誰が言ったのかってこと。もともと電波帯域再編のためのはず。それを前提(もしくは意見の一つとして取り入れて)としなければ、話がおかしくなると思う。
地デジに切り替えて
★★★★★
地上デジタル放送(地デジ)に早々と切り替えました。
テレビがちょうど壊れたためです。
最初は、枠付の映像が多かったです。
最近は、ほとんどハイビジョン放送です。
それでも、親や親せきには地デジは進めていません。
普及率が50%を超えないと、移行するのは不可能だと思うからです。
予想では、1年は延期すると思いますが、いかがでしょうか。
目から鱗の見識
★★★★★
「パソコンは買ったまま使うな」(岩波新書)「ワードは捨てて・・・」はパソコンを使う素人のための基本書と思うが、本書も素人がテレビについて考える基本書と思う。著者の一層の活躍に期待する。
地デジに対してどこまでお人好しでいられるか
★★★★★
送信側のいいように制限をかけられまくりの地デジ。
すでに本来の意味での「放送」ではなくなっています。
毒を食らわば皿までの覚悟でつきあうのもありだし、逆にあっさりテレビもういらねーというのもありでしょう。
放送局や行政が高をくくるにほどには、テレビに費やす手間も金も持ち合わせていない可能性がありますよ、私には(←私かよ)。
地デジはどうすれば見れるのか録れるのかを探りつつ、同時に、ああまでされてニコニコとつきあってやる必要があるのかないのか、考えなくてはなりますまい(私)。
PCやデジカメやオーディオなどに対して、とても現実的なアプローチを提案してきている著者が、地デジを取りあげた本です。
すごく参考になりました。