ハズレあり
★★★☆☆
本書は8編の論文で構成されたアンソロジーなので、主に面白かった1編と酷かった1編のレビューを書かせてもらいます。
面白かった物としてはシャピロの「営業と製造のジレンマ」。
営業と製造の間で対立しやすい8分野とそれに対する双方の代表的な立場の検討、対立の原因の考察、それに基づいた対応策が述べられたこの論文は対応策がややナイーブであると言うことを差し引いても、営業も製造も自らの主張を正当化するデータを提出する能力がある。という難しい意思決定が求められる状況で全体最適を目指すうえで示唆に富む物であると思います。
酷かったものは倉重の「ビジネスは営業から始まる」
この論文は今時、営業はナレッジ・ワークであるとかソリューション志向という事を抽象的なレベルで書いているわけで、露骨になりますがこれに関しては精神論を片仮名言葉で書いただけです。
もうナレッジ・ワークやソリューション志向という理念は具体的に書かないと意味がない程度には浸透していると思います。
最後に全体を通して見れば、特に良かった物が2編、酷い物が2編、後はまずまずの内容なので名著とは言えないにしても損はしない水準です。