1巻から読み直して気づいた。
★★★★★
竹地は中村さんを怪我させたことをあやまってないぞ!
小説を読んだような気分
★★★★★
この巻を読む人は覚悟した方がいいです。人の名前書いたら死んじゃうノート張りの字の量です。しかも内容も濃い。教育会でも物議をかもしそうな題材である性問題について真っ向から挑んでいます。特に安易につけずに性行為に及んでしまった生徒に対して、性教育を促すところは見ものです。
少し飛躍気味な論理展開なども見られます。「子供ができると不幸だからつける、独身者的な楽しみを失いたくないからつける、この感じ方、考え方はそのまま、不幸だから捨てる、楽しみを失いたくないから殺す、これらの選択と基本的に通低している」なんかは大分独善的な気もします。自分達にとっての快楽を失いたくないと言う点においては通じるものはあるように思いますが、性問題の最大の問題点は新しい命が生まれる点にあります。
作中の二つの主張は、前提として、子供ができている、まだできていない、状態が比較されており、やはり独善的な感は拭えません。
とはいえ、確固たる自分の考えを持ち、世論に流されずに、それでいて自分のエゴ、至らなさと紳士に向き合う鈴木先生の姿勢は、私の目に大変魅力的に移ります。借り物の言葉で教育するのでなく、その人その人の、心の底からの声での指導でなければ、本当に生徒には伝わらないのかも知れません。
なんだか大真面目に書いてしまいましたが、ギャグ漫画と見ても大変面白い作品です、登場人物もとんでもないのばかりです。特に最初の続木先生鈴木先生コンビは相当キテます(笑
公園での修羅場でいきなり乱入してきて言いたい放題いう竹地ママは芸術的な滑稽さです。
一癖も二癖もある作品でこれからも続きが楽しみです。
『不測の事態』は少な目?
★★★★☆
私的に鈴木先生の面白いところは、教師としての模範解答を彼が持っていないところ。
ありがちな「教師モノ」は、生徒間・教師間・保護者間での問題が起きたとき、最後に主人公(教師)の
発言がファイナルアンサーとなり、それは黄門様の印籠的存在となる。つまり、そのアンサーこそが
“ベター”ではなく“ベスト”であり、皆が納得してしまうのである。
しかし鈴木先生は、その問題に関係者と同じ立場で悩む。それは、「同じ視線じゃなきゃ駄目だよなぁ。
みんなと一緒のポーズでもとるか。」という上から見下した偽善ではなく、本当に彼が相手同様、
答えが分からないからである。皆で考え、主張し、妥協し、一つの答えが出る。だが、それはとても
ベストとは言い難いベターな答え。関係者は当然のこと、鈴木先生、そして読者でさえ、一つの事件が
解決しても、これで良かったのか?いや、だからと言ってそれ以外の方法が・・・?と、胸のモヤモヤが
残るのである。そこが私にとってのリアルで、面白いところだ。
さて、4巻は生徒のセックス・・・つまり性問題が襲い掛かるのだが、生徒が大騒ぎする割に、鈴木先生が
いつにもまして立派だった。そして性教育の野外授業。(後半が)バリバリ『黄門モード』だった。
カッコイイ!だが、私の好きな『悩める鈴木先生』が見れなかったのが残念だ。
『性教育に強い』という伏線は、1巻後半の「岬の件」や、恋人との“熱心すぎる会話”などから
十分に張られ、不自然さはない。逆にここで、悩める鈴木先生が出てきたら物語は破綻する。
つまり私の「無い物ねだり」ということですか・・・・・
完全に私的評価で☆4つですが、実質☆5つです。
新しい兆し
★★★★★
ある評論に、モラルとマクシムという言葉が載っていました。曰くモラルは社会的な通念、ジョーシキで、マクシムは個人的な信念信条を指すそうです。武富さんは「鈴木先生」を通して「自殺するのは良くない」といった耳タコ的な道徳や、「死にたい奴は死ね」というような脱線した価値観がこの世界ではもう「通用しない」のを読者に示しているように思えます。登場人物の誰もが焼け付くようなモラルを肌に感じながらそれぞれのマクシムを主張するさまはもはやギャグかシリアスか判別不可能なほど異常な緊張感に満ち満ちていて、魔力と言っても差し支えない。マクシムのソーゼツなぶつかり合いの果てに見出された共通項が、新しい時代のモラルの芽になる…そういう予感でいっぱいの漫画と感じ取りました。それにしても四巻、美味しんぼ並に台詞が多くて漫画じゃなくてちょい短めの小説を読んだ気分です。自分の好みは竹地親子。こういう人達がいて、きっと物語は面白くなってるんですね。読んでて何回も「オイ!?」と叫んでしまいました。あと、河辺のアタマのサイズがどんどん大きくなっていってるのは何か深い意味があるんでしょうか。五巻が気になって仕方が無い。最後に、自分も含めレビュー三件ってどーゆーことですか。みんなどしどし書けよッ!
こんな時代に「鈴木先生」のようなマンガが読めるなんて、オレはもう逝ってもいいぜ!
★★★★★
表紙カバーの女優の推薦文・・・一人の女生徒を「神様」「仏様」と崇め神格化してしまうスズツヅコンビの結成シーンを見て大笑いしている私が「センスいい」かどうかは別として、「文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞」とのこと。
作者の武富氏には心から「おめでとうございます」と言いたい。
とにかくこのマンガは面白い。
私のようなすれっからしのマンガ読者にも物語を読む楽しさを再認識させてくれる。
そして面白い物語を産み出そうとして、物語と格闘する作者の誠実さが感じられるのだ。
三巻後半のエピソード『恋の終わり』は、小川が幼馴染みの続木先生と再会してから、様々な登場人物の思惑がうねるように連続して展開していき、小川が屋上で泣き崩れるクライマックスにつながっていった。
その物語の構成の緻密さには本当に感心させられた。
カバー折り返しの作者略歴によると、文学小説や演劇を研究していたそうで、このストーリー構成の巧みさはその成果だろうか。
四巻においても性行為における避妊や女性の処女性に対する鈴木先生の持論がめまぐるしい勢いで展開されるが、その話の内容よりも、それを聞かされた生徒達がこの後物語の中で見せてくれる行動の方が重要なのだ。
今後このマンガがどんな展開になろうとも、面白い物語をつむいでいこうという心意気を感じさせてくれるかぎり、それを励みに私もこのマンガの「立派な読者」をやり続けてみせよう。