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国語辞典の名語釈 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥998
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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いや、驚異の名著ですがね、それが何か? ★★★★★
 山村修『“狐”が選んだ入門書』で冒頭に取り上げられていたので読んだ。
 実は中学生の頃、どこかで「詩人は辞書を読む」という話を聞き齧り、いや詩人を志していたわけでもないのだが、辞書通読を企てたことがある。すぐ挫折した。
 私たち凡俗にとって、辞書を摘読することさえ苦行に類する。況や複数の辞書を玩味し立項された語彙語釈を比較対照し、各々の特質や系譜や影響関係を明らかにし論じるに至っては……
 世に辞書マニアというものが存在すると耳にしたことはあるが、これはマニアなどとふやけた言葉の圏域には既にない。巻末に掲げられた「国語辞典年表」にサラリと引かれている矢印の1本1本が、その背後に隠れる気の遠くなるような時間の重みで撓んで見える。歴代の辞書編纂者たち、すなわち当代の碩学たちでさえ、ここまで辞書群を踏査した者は稀ではないのか?
 異形である……いや、間違えた、偉業である。
 「『日本国語大辞典』第二版に至る道」からは辞書編纂者相互の用例掲示を巡る暗闘が伺える。「『袖珍コンサイス和英辞典』に引かれた日本語の用例」では復刻された大正11年のコンサイス和英採録の語彙から当時の国語辞典に漏れた項目を探り、時代の変遷とともに言葉がいかに忘却の淵に沈むかに思いを致させる。「捕鼠」の語から落語「薮入り」に跳ぶ件りが、特に凄い(p211)。
 しかしつくづく、自分が「辞書の人」じゃないってことを思い知らされました。そういう意味では、残酷な本でもある。
国語辞典研究の名著 ★★★★☆
文章そのものは、間延びしていたり無駄が多かったりでまとめが巧いとはいえません。
ですから★1つ減じています。
ですが、書かれている内容はなかなか興味深いものがあります。
特に、「辞苑」は「広辞林」からの流用が多い、という記述が気になります。
それじゃあ、NHK「プロジェクトX」で描かれた新村親子の言葉探しの死闘っていったい…

勿論、「辞苑」だけがそうだと書かれているわけではないのですが。
全体的には、各種の国語辞典の歴史を俯瞰した記述になっており(勿論全て網羅しているわけではありませんが)、国語好きにはたまらない内容になっています。
はっきり言って、辞書好きにはお薦めです。

辞書好き必読書 ★★★★☆
何かで辞書や事典を引いて調べながら、つい当初の目的とは違う項目を読みふけってしまうような人にはたまらない本です。また、辞書の説明は一つの説でしかないと割り切り、常に批判的に読む人に打ってつけの本でもあります。その上、辞書作りの裏話もあり、辞書好きにとって必読書です。赤瀬川原平氏『新解さんの謎』を気に入った方は、きっと面白く読めると思います。