現代思想は何も考えなかった!?
★★★★☆
15年以上前に読んで以来の再読。当時の論壇誌(『正論』も含む!)を中心に発表された、言わば時論集であるが、これは十分に今でも読める。というより、刊行時には正直に言うと「何言ってやがるんだ」という反発で途中で投げ出したことを思い出した。
これまた、最近久しぶりに読み直した吉本隆明の『カール・マルクス』には、今更に驚かされるところがあったが、その弟子筋といえる橋爪の時論にも古びていないところが多々あった。
かくして、我らの思想界では、表題の「何を考えればよいか」というプロブレマティクは、そのほとんど全てが先送りされた感が強い。
橋爪は今や環境問題に特化している気がする。その萌芽は本書にも見える。個人的には森嶋通夫を論じた『資本論』論が興味深かった。