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フェードル アンドロマック (岩波文庫)

価格: ¥903
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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美しい詩でつづられた恐ろしくも悲しい恋の物語 ★★★☆☆
下心を持って、第二外国語にフランス語を選んでしまったのですが、目論見どおりには行かず、男ばっかりのクラスで教養学部時代を過ごしました。で、そのときほんのさわりだけですが読んだことのある戯曲です。当たり前ですが、僕の訳とは雲泥の差でした。

「恋の力に負けた者は、あなた様お一人ですか?」
「友情が恋に導かれれば、なしえぬことがありましょうか?」 など、名文句が連なります。
 途中に
「恐らくは地獄にさえも知られていない恐ろしい悪行までも!」などと、キリスト教徒らしからぬせりふまで顔をのぞかせます。主人公のフェードル、アンドロマック(それぞれ、ギリシャ神話では、パイドラー、アンドロマケー)の狂おしい恋とその必然的に訪れる結末を追うだけでも十分面白いのですが、細部まで磨き上げられた原文(見事な韻文、詩です)を、美しい日本語に置き換えた手腕、ちりばめられた名せりふも、楽しみの一つです。
 
 更に、ラシーヌの本文だけでなく、渡辺先生の訳注にも、
「『愛』と『憎しみ』は『情念』の回転扉の二つの顔である」とか、
「目の前が真っ暗ににあるというような状態を通り越して、頭の中が真っ白になってしまったような」などなど、ラシーヌに負けず劣らずの表現が連なります。250ページの本文に80ページも付けられた訳注も、読みどころのひとつです。
古典悲劇 ★★★★☆
①アンドロマック
劇団四季で上演されている古典悲劇「アンドロマック」の原作。
自分を愛して欲しいと願う、力強い愛の言葉、切ないけどなんかドキドキしてしまう。愛のためだけに生きてるみたいで!
愛の4角(5角?)関係なんだけど、
お互いに、相手の弱みに付け込んで、自分の愛する人を勝ち得ようとするんです。

みんながみんな、片思いで、プライドも高いので泥沼化していってしまう。
登場人物同士の会話読んでると、時々、ややこしい解釈するなぁ、って感じるー。
この頃の戯曲の特徴なのかな。
何度読み直しても、意味がよく理解できない文が2、3あって、悔しい。
シェイクスピアと並ぶ戯曲作家ラシーヌの、出世作品だそうです。

②フェードル

フランス語読みのタイトルからは、気がつかなかったけど
エウリビデスの「ヒッポリュトス」を題材としたもの。
エウリピデス作品の、恋することを軽蔑する主人公よりも、
敵方のアリシーに恋している、こっちの設定の方が好き。
でも、テセウスの影がめちゃ薄くって、英雄テセウスのイメージが好きな私は、
この戯曲は、あまり好きになれないなぁ。。

愛と憎悪の四重奏 ★★★★★
有名なフェードラもいいのですが、アンドロマックには圧倒されました。凄すぎます。まるでオペラのようです。最初はソロから始まり、登場人物4人の声が重なり、憎悪と愛情の入り混じった大音量の不協和音に変わってゆき、最後はわめき叫んでいるにも関わらず無音。読み終えるころにはまさしく放心状態になってしまうほどの激しさです。良い人間の定義が「他人を思いやる」とか「他人に誠実である」というのであれば、良い人間などこの劇には一人としていません。みんな自分勝手で、自分の欲望に正直で、そして、痛々しいくらい生身です。そんな彼らの奏でる音楽が、読み終わった後、耳にうるさいほど残ります。