客観的に判断できる感性と利他的な成功例は聞いていて心地よい。
★★★★★
キャノンで働いている親友がいるのだが、実際はどのような会社なのか気になっていた。 キャノンといっても本書での紹介はキャノン電子という協力会社になるがキャノンの意思は確実に受け継がれているであろう。
私がまず一番感心したことは社訓である「3自の精神」というものである。 「何事に進んで行動し、自分の事は自分で管理し、自分の立場や役割りを自覚する。」 これは私の日頃からの基本方針でもあるから非常に共感できた。 成長するにあたり非常に重要な考え方でもあるからこれが本当に社内で全員実行できていたら相当レベルの高い仕事が出来るのだと思う。
さて、本書は酒巻氏の考え方から現在に到るまでの経験が語られておりキャノンという会社の面白い部分を感じ取ることができる。 酒巻氏は本来、愛社精神もなく(週休2日制に魅力を感じ入社)、非常に気が強く頑固である。 今の時代では考えられないような悪態をついたにもかかわらず解雇されずにいたのもキャノンという会社とその当時の上司が寛大でもあり、時代の違いをつくづく感じた。
そんな気難しい性格の反面、非常に勤勉家で自分自身のことを客観的に見つめ分析している。 本書はただの成功体験本ではなく現在の社会体質なら通用しないとバッサリ切り捨てているところがまた面白い。
ビジネスにおける口約束の失敗談や上司に呼び出されすぐに駆けつけず上司にこっぴどく怒られた話は坂巻氏の本質的な人格を表す部分だと思った。 簡単にいうと、口約束は相手との利害によって不安定なものになるから極力書面にしておくこと。 どこの国の人間とかではなく人の性格によるものも大きい。 それと上司に呼び出された話では、常に分刻みのスケジュールで動いている多忙な方の時間を狂わせたことを後日談で反省している。
本書を読んで自分の信念に少し自身が持てた。
どんなに人とぶつかり、批判されても、こそこそと世渡りしていく人間よりは人間味もあり面白い人生が待っているのではないかと!
坂巻氏も多くの人とぶつかってきたからこそ多くの人間のパターンを読み取れるのではないだろうか! 最終的にはこのような不器用で多少頑固だと思われる人間の方が本物に育っていくのではないだろうか!
読み易さが一番
★★★★☆
ノンキャリア(自称)の作者が入社〜現キヤノン電子計算社長になるまでの仕事の仕方。
よく聞く話もあり、特別この人はすごい!!と共鳴できるところがないが、結局当たり前のことを当たり前にやる。
たまにこういう本を読んで自分を振り返る機会が出来た。
酒場で大先輩から話を聞くような
★★★☆☆
この著者は、前著で、会議を効率よく終わらせるためイスをなくせ、とか、パソコンなんていらないと、書いて本が売れたようです。常識はずれのようでいて、キヤノンで常務にのぼりつめ、子会社の社長として利益をあげているので主張にも説得力があります。ただ、この本にかぎっては、体系的なものでなく、これまでの体験の断片をまとめた感じで、その点がやや不満です。それでも、ゴルフを始めるといったら、毎日、自宅ですぶりをし、自分のフォームを分析して、スコアをあげるなど理系ならではの凝りようはすごい。それが仕事に現れていて、仕事上の失敗も少なくない。しかし、そんな著者を、受け入れるキヤノンの社風にはすぐれてところがありそうだ。