視点が偏りすぎている
★☆☆☆☆
現役コンサルタントとしては放っておけない書籍です。
私は2社コンサルティングファームを経験しているし、
他のコンサルファームといくつも協業したこともありますが、
例えば本書に出てくる「依頼書」なるものは存在せず、
クライアントとはきっちりとした契約書を交わしています。
また決算書を見せろなどとは言わず、コンサルフィーが苦しいなら、
現実的な範囲でできるプロジェクト設計をしますし、
データベースを使って事前に決算書を見ることは当たり前のようにありますが、
それはコンサルフィーを払えるかなどという不埒な目的ではなく、
その目的はその会社の課題に「あたり」をつけることです。
また、この場で契約しなければ…のような発言は一切なく、
納得できないならじっくりと考えて返事をください、となります。
さらには、CD、メルマガ、書籍などこそ勉強になるとありますが、
一流のコンサルは皆忙しくて書籍など書く暇がなく、
例外はありますが、実際有能なコンサルで本を出す人は稀と考えたほうが良いと思います。
確かに、本書に書かれているようなコンサルが一部存在することは否定できない面もありますが、
それをコンサル一般論として書かれることには甚だ異論があります。
本書の内容を信じる・信じないは読者次第ですが、
かなり見方が偏っていることに加え、恣意性を感じますので、
その辺も念頭に置いて読んでほしいと思います。
これはすべての業界に当てはまることです!
★★★★☆
有名コンサルティング会社で勤務している知人がいます。
ある程度この業界の裏話も耳にしていましたが、今回この本
でより臨場感を持って確認することができました。
余計な前置きもなくスリムな文体のため一気に読破できま
した。
前半はコンサルティング業界の外側にいては永遠にわかり
得ないこと、それゆえに私たちが知りたいことを惜し気も
なく期待を遥かに超えて公開してあり快感でさえあります。
恐らく実際にコンサルティング会社から営業を受けたこと
のある方であれば、笑いが込み上げてくる内容もあるので
はないでしょうか。
☆コンサルタントが決して口にしない本音
☆コンサルタントたちが社内で交わされている(と思われる)会話
☆コンサルティング料金決定の驚くべき真相
☆コンサルティング料金はどのように釣り上げられるのか?
☆コンサルタントたちの収入はどのように決まるのか?
...etc
プロフィールから、筆者は現在も引き続きコンサル業も
されているようなので主旨は後半にあると思われます。
本書の「はじめに」「おわりに」にも繰り返し書いてありましたが、
わかりにくいからといって、情報格差でズルく稼ぐ業界は
長続きしないから、正々堂々といきましょうよ、その上で
お互いスッキリした状態で幸せを勝ち取っていきましょう、
ということでしょう。
これはコンサルティング業界に限らず、すべての業界にも
当てはまる非常に耳の痛いメッセージでした。
映画「ザ・エージェント」のよう
★★★★★
「誰もが考えてて、口にしなかったこと」
トム・クルーズ主演の映画「ザ・エージェント」の序盤で出でくる
セリフです。
顧客のため、クライアントのため、と言いつつも本当は「自分のた
め」が本質だったりする。
薄々わかっていながらも、誰も口にしない。
それを口にして、まさに「誰もが考えてて、口にしなかったコンサ
ルティング業界のこと」を惜しげもなく披露しています。
もはや、コンサルティング業界に限らずオールマイティーに解釈が
出来るんのではないでしょうか。