Web時代にますます考えるべき集合知・みんなの意見
★★★★☆
Web2.0が話題になった頃から聞くようになった言葉・集合知(The Wisdom of Crowds)が原題だが、「みんなの意見」は案外正しい ってのは上手に日本語に訳した例だと思う。案外とは、時には、条件により、ということもあるが、科学技術などを始め様々な分野の専門家がタコツボ化した現代においては非常に重要な概念である。
政府(与党?)の一握りの人間、省庁の特定の実力者、会社におけるCEO・社長といった上位階級の専門家が、マネジメントチームや予測チームなどの上手に運営されたチームよりも常によりよい判断を下せる保証はない。むしろ特定の条件さえ満たせば、集合知、身近なところでは課やチームでもいい、グループで話し合った結論のほうが平均して良い判断が下せる。そのような集合知について、上手く行く条件や事例、失敗した事例、今のところどうしても適切な判断が出せない株式市場などについて、様々な考察をしている。
科学者、技術者は一人で考えるよりも共同作業したほうが良い結果が出る。資本主義における取引も民主主義も、NASAもトヨタも、多様性を持ったメンバーがお互いを信頼し、全員が立場に関係なく自由に意見を出し、上手に集約すれば、構成員の中で最も優れた者よりも良い結論を出せるという話は極めて興味深い。
同じような考えの構成員だけでは極論に振れる。チームにはいろんな人がいた方が良い。CEO・社長にすべてを任せてはいけない。政治は政治家だけにまかせてはいけない。情報がありすぎると却って間違う。
限定的な情報を持たない個人が集まって議論しても、多くの情報を持つ個人より良い決断が下せるというのは衝撃でもある。
『投資苑』嫁
★★☆☆☆
他のレヴュアの方の言うとおり
ル・ボン『群集心理』は暴徒の話であり、
Dr. Alex Elder 『投資苑』でも『群集心理』が
参考文献として提示され、マーケットの中の
「暴徒達」の暴走状態がバブル状態、
との文脈の中で「集団心理」について書かれていた。
・・Dr. Elder自身 が MACDヒストグラムでの
「逆張り」が得意であり、日本の伝統的な相場師も
コントラリアンであり、勝率80%斉藤システムも
移動平均乖離を「目安」とした「逆張り」エントリー。・・
1.多様
2.分散
3.独立
4.集約
とは、個人トレーダー内部で行われた時には
self-organization
「自己組織化」と為る。
この本の要約
★★★★☆
この本の要約。
「どんな人間でも個人としてはそれなりに聡明で思慮分別があるのに、集団の一員となると途端に鈍感になる。集団は、その中の最高のメンバーの水準まで達することはなく、むしろ最低なメンバーの水準まで下がってしまう。」
「経済学者のテレンス・オディアンが自信過剰の問題を調査したところ、医師、看護士、弁護士、エンジニア、企業家、投資銀行家などは、全員自分知っている以上のことを知っていると信じていた。同様に、為替相場のトレーダーを対象にした調査では、7割の確率でトレーダーは自分の為替相場の予測の精度を過信していた。要するに、人はただ間違っているのではなく、自分がどれくらい間違っているのかすら分かっていないのである。」
「集団に属する人間は、集団に同調し、大きな失敗を避けたほうが、革新的な手法を導入して大失敗するよりも、感情的にもキャリア的にも納得しやすい。この現象はハーディング(群集行動)と呼ばれ、まるで牛がライオンに襲われないように集団でいるのと同じである。つまり、アメフトのコーチも、ファンドマネージャーも、企業幹部も、多数でいる方が安心するからこの手法を取るのである。」
「最後通牒ゲーム実験、2人1組のペアになり、一方が配分者となり10ドルをもう一方の受益者と分ける比率を決める。ただし、受益者が拒否すれば、両人ともお金はもらえない。両人とも合理的なら、配分者は自分に9ドル、受益者に1ドルとするはずである。受益者は1ドルでもゼロよりはましであるからである。しかし、実際にこの実験をすると、受益者の配分が2ドル以下だと、相手は拒否する。もちろん、配分者もこの傾向は予測しているので、このゲームでよく見られる配分は5ドルである。これは賞金の額を増やしても同じ結果になり、どの国民でも同じ傾向が見られる。しかし、このゲームに多少のルール変更を加えると結果は異なる。学校でのテストの成績は良い人に配分者の役をやらせると、受益者の取り分がかなり低くても、申し出を拒否する回数がほとんどないのである。つまり、“配分者は富を多く手にするだけの価値が自分にはあると示せた”と受益者が感じたからである。」
集合知 集合愚
★☆☆☆☆
習慣の罠、権限とインセンティブについても解説されているが、
事例が多すぎて、言いたいことがまとまっていない。
そのせいで、ダラダラと長い。
結局は、1度自己否定を通すコトが大切なのだ。
集合知 集合愚
★☆☆☆☆
習慣の罠、権限とインセンティブについても解説されているが、
事例が多すぎて、言いたいことがまとまっていない。
そのせいで、ダラダラと長い。
結局は、1度自己否定を通すコトが大切なのだ。