別れを前に
★★★★★
マリウスー!(笑) もう本当にこの人はどこまでいってもマリウスでしかありませんね。困ったものです。この奔放さがあるからあの歌声があるといわれてしまえばそこまでですが、旅立ちを前にフロリーとの攻防を楽しんでしまうこの人を本当にどうしましょう(笑)。
ケイロニアでは毎瞬が針の筵だっただろうとしみじみ思いました。素直すぎです、マリウス。
この巻ではフロリーと息子の旅立ちを前に、マリウスとリンダ、それからヴァレリウスもそれぞれに内面を吐露します。
自分の好悪でしか動かない、動かせない吟遊詩人と、国家を統治する重責を一身に担わされた女王と、女王を補佐する参謀と。
優しくてか弱い、慈悲の心に満ち溢れた母と、その母を庇護しようと必死になる幼い息子と。健気な母子を前に、それぞれの立場からさまざまな思いを持つ三者三様の内面の描写が手に汗を握らせます。
リンダが「私には女の友達がいない」と言った時、彼女の孤独の痛切さを感じ、涙が出ました。同じ立場にたたされた者でなければわからないことがある……本当にその通りです。
リンダがせめて実弟であるレムスともう少しコンタクトをもち、彼の回復の一助になって姉弟で仲直りできないものかと思いました。
自分は王様とか女王様の気持ちはその立場に立った事がないので全然想像もつかないのですが、グイン・サーガを読んでいると「……大変だなあ」といつも思います。いくら優れている人でも、グインみたいなスーパーヒーローでない限り、悩みや苦しみは尽きなくて、その中でどうやって頑張っていくのかを考えるものなんだなあと思いました。
国、と一口にまとめていますが、人間の集合体であるパロという国家を背負ったリンダ女王が自分の苦しさを口にして、涙を流し、そのことでかえって強くなれたことに感動しました。
こんなに健気な女王様を見せられたら、自分もパロに今すぐ走って行って農作業とか漁業とかを手伝いたくなってしまいます。わたしをパロに連れてって! 農作業はできないけどきっとおぼえます! って感じです。早くもとのような芸術の都として隆盛を極められるといいですね。
何もかも投げ捨てて旅に出てしまいたいのは自分なのに、親子のために旅装を整えてあげる優しいリンダが大好きです。
がんばれ、リンダ・アルディナ・ジェイナ!
いつものパターン
★★☆☆☆
作者、体調が悪い割にはストーリー展開はあいかわらずスローテンポです。この本の数十%は「今までの総括」、端的にいえば思い出話です。第1章〜第3章までは、全然ストーリーがすすんでない、といっても過言ではありません。第4章で、ミロク教に対する考察めいたものが開始されました。長い間、謎のままだったミロク教についてやっと触れられました(あとはカリンクトゥムの扉か・・・)。
しかし、それにしても、ストーリー展開が遅い。もっとスピードUPしてくれないかなぁ。
まさかとは思うけど。
★★☆☆☆
グインがなくしていた記憶を取り戻して、代わりに記憶喪失中の記憶をなくしましたけど、
もしかして、そのなくした記憶が元でまたトラブル発生ですか?
そんな未来まで続くかどうかは兎も角として、続いたとしたら確実にスーティとの再会もありますよね?
グインが憶えてない為に気持ちの行き違いが生じて対立とか?
将来「大物」になることが約束されてるスーティ。
もしかしてミロク教を率いることになるのかな?
この新たな「記憶喪失」が伏線だとして生かされるには後何巻必要なんだろう.....。
しましょうよ。
テンポアップ。
命がけの
★★★☆☆
私も長年このシリーズを読み続けているが、ここ何年かはごぶさたしていました。
このところとても買う気がしないような老人の繰言のような内容なのは他の方が書かれているのと同じです。
極端に長い台詞回しとまるで現実にあるかのようなしつこいくらいの情景描写が著者の得意とするところだったと思うのですが、最近はそれほど、うまくいっているとも思えません。むしろこのスキルにとらわれてしまっているかのようで、本作でも中盤以降は飛ばし読みしてしまう人が多いのではないでしょうか。
さすがに、それでは読者の満足度が得られないと考えたのか、ミロク教の話を持ち出して古い読者のつなぎとめを図っているようです。
著者のかかっている病気は膵臓癌で、癌の中でも予後が悪いことで知られています。
もしかしたら、著者は自分自身の得意な長文の台詞回しと詳細な情景描写を書き続けるために(それこそが著者の自己実現、自己存在確認なのかもしれません)、「私はいつ死ぬかわからない」という状況を強調して飽きかけている読者の関心を再び呼び戻そうとしているのかもしれません。
私自身、ここ10巻近くを購入も立ち読みもしていないのに、次の巻には注目しています。
まるで時限爆弾のように近づきつつある?かのように自分の死を見せることで(実際、次に肝臓に転移したらやばいのではないかと思うのですが・・)究極の宣伝活動を開始したのではないでしょうか?
それは、まるでナリスのように振舞うことで、自分自身の重病との折り合いをつけているようにも思えます。
確かに著者の置かれた状況は大変厳しいとは思いますが、これまで膨大な時間と本代を投資してきた読者に対して、少し傲慢とも不敵ともさえ思えるのです。
またですか・・・
★★☆☆☆
アムネリスが死んで、ちょっとはこうゆう巻が減るかと思えば、増える一方!
マリウスの繰言はもう聞きたくないし〜
さくさく描けば一章ぐらいで一冊終わったような気もします。
書く本人が病人のせいか、しつこいようって感じ。
でもでも、それでも一気読みしちゃった。
モンクは言っても所詮私はグインファンなんだなあ・・・
完結さしてくれるのかなあ、クリモト先生は。とりあえず、終わらせてから枝サーガをかくかんじで進めて欲しいと思う私であります。
次に期待だ!