ミロクの巡礼を読んだ感想
★★★★★
作品中で泥舟というのがありますが、湿地帯というよりも巨大な底なし沼と言った方がいいようなところに書かれていますが、そういふうな所ではそもそも船を漕いでも進まないんじゃないでしょうか?作品の最後で騎馬の民に襲われたときに、ヨナが(私だけが生き残ってしまった、、、私だけが・・・・)と、思う所がいくらなんでもヨナだけが助かるのは不自然ではないかと思いました。
本編よりあとがき(作者の健康状態)が気になる読者が多いのでは
★★★☆☆
『ミロクの巡礼 グイン・サーガ124』です。タイトル通りの内容です。グインサーガを本編だけで123巻も読んできた人には、だいたいどのような内容になるか想像つくと思います。その通りです。
表紙イラストはカメロンですが、この巻の主人公はヨナです。そりゃ、長い長いシリーズですから、今回のように脇役にスポットが当たる巻があってもいいと思います。
ヨナがヤガを目指し、旅をします。マルガでナリスの墓を詣でて、ダネイン湿原から草原へ。
でも草原といえば、あの人では。
ご安心ください。広大な草原の中で、ピンポイントであんな事件が起きてあの人と出会って、という展開がご都合主義なヒキだとか突っ込んではいけません。変身ヒーロー物で、どうして変身中に攻撃しないんだ、と突っ込んではいけないのと同じです。これはグインサーガというシリーズのお約束です。
なんといってもすごいのが、ダネイン湿原地帯から草原に至るまでの地理、観光といったものの説明です。長々とした説明を読ませる文章力はすばらしいと思いますし、ここまで長く続けてきたからこそ許される特権だと思います。
でも。
ストーリーが進まないことに辟易している読者も多いだろうなとは思います。
というわけで、好意的に評価させていただきました。え、全然評価していないじゃないか、と思われるかもしれませんが、それ以上評価するような内容もありませんので。
この巻は、こういう巻、と割り切って楽しむことです。
いよいよヨナ参謀の冒険が!
★★★★★
栗本作品の中でも、このヨナ先生というのはちょっと独特な造形がされていますよね。
情報通という意味では『翼あるもの』や『朝日のあたる家』に登場する野々村さんと近いかもしれないけれど、あそこまで腹黒くはない(笑)。伊集院先生ほど能動的でもない。まあ伊集院先生を能動的というと語弊がありますが、ヨナはなんでもじっと観察して宮澤賢治ばりに「ヨク見聞キシワカリ」初めて行動する思索の人です。
自分はけっこうヨナが好きで、この冷静さとか知的さがほのぼのした温和な性格とブレンドされて飄々とした感じがすごくいいなあと思います。
グインの世界の中でもしかして一番明るい性格なのがヨナじゃないかと思ったりもしてます。明朗ですよね。いつでも感情が一定していて揺るがない。
何しろあのナリスやリンダの側にいて、それで平気でどっかのミロク教徒の田舎娘を好きでいるんですから大したものです(笑)。
ところでそんなヨナの「性格」は? と訊かれると、「……落ち着いていて、けっこう面白くて、えーとえーと古代機械が大好きで?」と、彼の行動を側面から見ていて感じるものしか言葉にできません。
今回はそんなヨナ先生が冒険に旅立つ端緒の描写が多いです。
これほど波乱万丈でさまざまな苦楽を経験した人の内面を語らせるわけですから、それはもう一冊が十冊になったところで当たり前。これはもうお約束です。
こうして肉付けをしっかりし、個性的で変わった骨組みの上に、その人らしさを構築していくわけですから作者が楽しんで「ヨナってこうだよね」と書かれているのが面白かったです。
自分の脳内パラレルではヨナは何もかも終わったらケイロニアで暮らしていそうです。それであの魔法の小道とかで魔法使いにインタビューしたり、ミロク教徒に宗旨替えしてすっかり温和になった(でもやっぱり喧嘩っ早くて茶目っ気たっぷりな)イシュトとお茶飲み友達になっていて、ときどきグインに会って彼の記憶している別世界の話を聞いて思索にふけるんですよ。そんな夢想を駆り立ててやまないヨナの旅立ち。
今後に期待大! なのです!
旅行記です。
★★★☆☆
聖地への巡礼。
宗教にありがちな設定ですが、なぜヤガが聖地になったのかの
ヒントでもあるかと思い読みました(なかったですが)。
地図をみると相当辺境ですよね。
物語で重要な鍵を握りそうなミロク教。
今後の展開を踏まえ、この宗教について一度整理しておく必要があったのだろうと
好意的に解釈しました。
グイン・サーガの醍醐味。
★★★☆☆
なぜ今回はヨナがメインなんでしょうか??と、
悩んでしまいました。
(多分)脇役である、彼の旅の様子を描くと、またまた本編が進まない感じで、
早くヤガに着いてくれないかな〜〜と、
ジリジリした気持ちで読みました。
案の定、道中で終わってしまったのですが。
平和に見えた旅が突然終わりを告げるという展開は、
今までに何度も出会った感じで、これぞグイン・サーガ!とは言えます。
メインの登場人物との出会いがあり、
それまでのつなぎとしては仕方なかったのかなという感想です。
とはいえ、ヨナの旅の説明が充実しすぎてます。
あとがきの栗本先生の最近のご様子を読むにつれ、
このお話の結末を目にすることができるのかと、不安になってきます。
お願いですから、最後までちゃんと書いてくださいね、栗本先生。