真犯人を撹乱させる「技」
★★★★☆
戯曲、といえども
侮ることのできない1作品。
毒殺から始まる事件は
のちのち登場人物側からさまざまな
事実が露見してくることにより
真の犯人は見えなくなってきます。
そして最後はポアロが
考え付いた作戦により
犯人が姿を現します。
きっとそれは意外、と感じることでしょう。
往々犯人は意外性をついては来ますが…
短いけれども最後に
「えっ…」と思わせる要素のある
充実した作品でした。
小説版を先に読んでしまったので
★★★★★
小説版を先に読んでしまったので、少し、話の展開がまどろっこしい感じがしました。
最初にこちらを読んでいれば、話が飛んでいて、わかりにくかったかもしれません。
アガサクリスティの戯曲を読むのははじめてなので、まだ、どのあたりに味があるのかが分っていません。
面白いのは「と書き」です。
戯曲を書くときの参考になりました。
評決
★★★★☆
本書にはアガサ・クリスティーの2編の戯曲が収録されています。
『ブラック・コーヒー』はクリスティー初の戯曲で、ポアロが登場する推理もの。面白かったのですが、すでに小説で使われたのと同じトリックなどが使われていることなどもあり、傑作というほどのものではないかなあ、と思いました。
『評決』は推理ものではないため、公演当時は人気がなかったそうですが、傑作だと思います。理想主義者は自らの理想のために愛する者さえも犠牲にしてしまう、というのが主題のようで、『アクナーテン』などにも通じるものがあるように感じました。