空港売店で買った一冊
★★★★★
手塚氏の作品から「家族」をテーマとして10の作品が選ばれている。
なぜにこれらの作品が選ばれたのかは分からない。
その根拠が示されることによって、より共感できると思われるのだが。
「家族」それは多くの場合、最も身近にくらし、
最も深く関わる人たちであろう。
その家族との関わりに自分という人間が浮き彫りになる。
否応なしに自身と向かい合うことになる。
短編マンガのせいか、物語の展開に無理を感じる点がない訳ではないが、
それを越える味わいがある。
やっぱり手塚治虫は偉大
★★★★☆
手塚治虫の「家族」に関係するテーマの短編漫画を、「ブラック・ジャック」から3編、「ブッダ」から1編、「鉄腕アトム」から1編、その他から5編集めたもの。
「家族」に関わるものを集めた「だけ」なので、特にそこにテーマがあるわけでも無いが、やはり手塚治虫は「深い」、と思った。「ブラック・ジャック」の短編も「鉄腕アトム」の短編も、読み出したら、昔読んだのをすぐ思い出した。それだけ、自分が子供の時に読んだ印象が強かったのだろう。
特に、初めて読んだ「アダジオ・モデラート」は良かった。最近の漫画界は良く知らないけど、短編で、ここまで「うーん」とうならせる、重いテーマの漫画を書く人はいない、と思う。子供向けではないので、今時に「売れる」漫画だとは思わないけど。
あとがきで、息子の手塚眞が「ブラック・ジャックのテレビ版で、月に一度は人情話を入れる事にした」と書いてあったけど、確かに手塚治虫の漫画は、別に図柄が格好いいわけでもないけど、心の琴線に触れるストーリーが特徴だ、と思う。このストーリーは、外国人の心の琴線にも触れるのかな、というのは正直な疑問。
引っ越しを重ねるうちに、「ブラック・ジャック」も、「火の鳥」も、「ブッダ」も捨ててしまったけど、やっぱり自分が年を取ってからも読みたい漫画のひとつは、手塚治虫だ、と思った。
手塚治虫のテーマ別作品集「家族」篇
★★★★☆
手塚治虫の短篇マンガをあまり読んだことのない人にはおすすめできるだろう。だけど、私のような長年の愛読者にとっては、読んだことがある作品ばかりなので、物足りなさをおぼえる内容でもある。買うまえにかならず目次を確認したほうがいいとおもう。
全10篇のうち、今回はじめて読んだのは「ブッダ外伝 ルンチャイと野ブタの物語」と「てんてけマーチ」の2篇のみ。特に前者は、雑誌掲載ののち今まで刊行されていなかったレア度のきわめて高い短篇。いかにも仏教説話らしいストーリーだ。
それ以外は「ブラックジャック」「鉄腕アトム」「空気の底」「地球を呑む」といった親本でかつて読んだもの。短篇としての着想が光るものが多い。手塚はじつは短篇の名手なのだ。
とはいえ、誰が作品の選定をおこなったのかを明記することが、こうした選集を出版する場合には不可欠ではないだろうか。編者が解説を担当していればさらに信頼できるし、興味が増すはずだ。
ところで、手塚治虫の長男である眞さんによる解説の空疎な文章にはがっかりさせられた。家族から見た手塚の素顔をもっと具体的なエピソードをまじえて書きつづってほしかったという気がしてならない。自分の父親を天才と祭りあげてはばからない鈍感な無邪気さに微苦笑を禁じえなかった。
家族、最も小さくて最も大切なユニット
★★★★★
手塚治虫さんはたとえば釈迦やアインシュタイン・レオナルドダビンチなどと同様に時空を超えた卓越した知識と普遍の愛を備えた偉大な人物の一人であることは確かです。彼がマンガの中に書き残したかったもの、読者に気づいて欲しかったものは多岐に渡ります。その作品の中から家族を扱ったものを抜粋したのがこの編集です。ここには「ブラックジャック・ブッダ外伝・鉄腕アトム・てんてけマーチ・地球を呑む」などの中から10編載せてありますが、家族へのゆるぎない愛が確かな重みをもって随所に描かれていますす。私たちは今こそ原点に戻って家族のあり方に対峙するときです。