1974年の『Starless And Bible Black』は、ギタリストのロバート・フリップ、ベーシスト兼シンガーのジョン・ウェットン、ドラマーのビル・ブラッフォード(それにヴァイオリニストのデヴィッド・クロス)というクリムゾンの主要メンバーが顔をそろえた2枚目のアルバム。前作『Larks' Tongues in Aspic』の複雑な構造とハードなグルーヴを受け継いでおり、『Lizard』や『In the Wake of Poseidon』のようなメロトロンを多用したサイケデリック・シンフォニーとは一線を画すサウンドだ。
金字塔的なアルバム『Red』を予告していたかのような本作には、「The Great Deceiver」、エキセントリックなバラード「Lament」、戦慄的な演奏が11分間にわたって展開する「Fracture」、壮大なタイトル・トラックなど、クリムゾンの代表曲といえるトラックが並ぶ。アヴァン・ロック調の「Bolero」は、アブストラクトなノイズ・ギター、けたたましいパーカッション、厚みのあるファンク・ベース・ラインによる不協和音の饗宴だ。メロトロンも登場するが、ここでは不調和なハーモニーと不気味なサウンドの爆発を手助けするかたちとなっている。クリムゾン・マニアのマスト・アイテムであり、初心者が最初に聴くべき1枚としてもおすすめだ。(James Rotondi, Amazon.com)
クリムゾン祭りNo7
★★★★★
キング・クリムゾン1974年の7枚目「Starless And Bible Black」です。「星1つない、聖なる暗黒」とでも訳すのでしょうか、あまりにも象徴的なフレーズです。本作はこのフレーズを提示したことで記念碑的なアルバムとなりました。その提示された世界観は「レッド」アルバムで昇華するのです。
内容は前半2曲以外はライブ録音とのことです。(一聴では全く解りません)ですから、圧倒的なテクニックに裏付けされたインプロヴィゼイションの応酬となっており、どの作品よりもフリーキーなものとなっています。東洋的な楽曲などもあり、クリムゾンのある側面を的確に表している作品であることは確かです。
しかし特出すべきは一曲目、「THE GREAT DECEIVER」です。アグレッシブな複雑なリフが複合的に音階を絡み取る、非常にロッキンな曲であると同時にメランコリーな側面もある、クリムゾン史に残る名曲であると思っております。
なかなか目立たないアルバムですが、クリムゾンを理解する上でも避けて通れないアルバムであることは確かです。
REDより好きだ
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前後の作品は名盤扱い。で本作は?正直これだけ即興曲挟んだら一般受けはしないわな(笑)
でも実際は太陽と戦慄はタイトル曲はしっかり作曲されているものの、複雑過ぎて好きな人以外には雑音だろうし、REDはなんかメロウ過ぎる、ウエットンの色があまりに強いのだ(ちょっとくどい)
そんな感じで本作聴くとわりとバランスとしてはいいんじゃないかと。この時期のラインナップ好きなら即興は大好物だろうし、ウェットンの甘い歌物もある。それに「隠し事」「詭弁家」はインテンポになってからはお得意のヘヴィなファンクジャムだ(と言うかクリムゾンの即興はこういうのかメロトロンで幻想的にかって数パターンしか実際にはない、わりとマンネリである)これなら「太陽と戦慄」や「RED」の不協和音で乗り難い曲より一般の人でも理解しやすいんではないか?まぁフリップが変なスケール使った時点で無理かな(笑)でも私はこの時期で1番好き!
キングクリムゾンの到達した・・・魔術的リアリズム音楽の極み!
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当時のライブ定番であった「ラメント」、「グレート・ディシーバー」、「ナイト・ウォッチ」を含んでいることで有名な作品ですが、「太陽と戦慄」と「レッド」の間に挟まれているせいか、地味に見られがちな作品です。
しかし・・・この作品こそ、後期クリムゾンの最高到達地点に位置する作品です!
とは言え、リスナーがクリムゾンに何を期待するかで、評価が変わってしまう作品であることは否めませんが・・・。
私が痛感するのは、ロバート・フリップ、デヴィッド・クロス、ジョン・ウェットン、ビル・ブルッフォードの四人が繰り出す、むき出しの、確乎たる「自立した演奏性」です。この作品の水準は、単に演奏に凄い迫力があるとか、複雑な楽曲を上手くこなしているとか、というプログレッシブ・ロックの標準をも、遥かに超えています。
四人が最低限の約束ごとを守りながら、強靭かつダイナミックに、また絹の糸のようにしなやかに、微分的に変化あるいは対話、拒絶しながら、誰もが何かにおもねることなく、自発、能動的かつ創造的に、また何かを「演奏する」のではなく、解体・構築してく様はまさに圧巻です!
これは、彼らが音楽家として、また芸術家として、非常に高いレベルにあったからこその成果でしょう。ここで私達が聴くことが出来るのは、実験ともジャム・セッションともジャズにおける即興演奏とも異なる地平線上のパフォーマンスです。ロックのカテゴリーの中で、たぶんここまで「いった」のは、この時期のキングクリムゾンか、ある時期のソフトマシーンぐらいでしょうか。
後期クリムゾンで、ロバート・フリップが目指した、ライブにおける魔術的リアリズムの究極の姿がここにあると、私は確信する次第です。
「太陽」と「赤」は聴いたが、この「暗黒」の方はまだ、と言う方には、是非ともおすすめします。
構築と破壊、隠れた名盤
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A面の耽美的なヴォーカルには、クリムゾン初期の叙情性がオーバーラップし、B面のライブテイクは第一期(と呼べるなら)クリムゾンの
命を削るような演奏の集大成と言って良い。そういった面では、クリムゾンの音楽が持つ二面性、あるいはその技巧や純粋性を知るにも最適な一枚だろう
とくにロバート・フィリップ得意のメトロノームが如くのギターリフから、ラスト1分のビル・ブルフォードの血が沸き立つような
テンションのドラムで終わる「Fracture」は圧巻。メロディとリズムによる音の構築と破壊を繰り返す様は、クリムゾンの実験的要素を
色濃く感じさせる。クリムゾンを知って30数年、「宮殿」とこのアルバムはいまだ日常的に聞き続けている
オーディエンスは一体どうやって聞いていたのだろうか?
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このアルバムの大半がほとんどライブ録音だと知った時は本当に驚いた。そういう知識をもって聞くと
B面の曲はライブらしいというのは分かる。この演奏を聴衆は襟を正して聞いていたのだろうか。
初来日の時、開演前に「カメラのフラッシュが焚かれた時点でライブは中止となりますとロバートフリップ
から申し出がありました」とアナウンスがあった。このグループに出会えたのは本当に幸運であったと思う。
レッドまでのスタジオ作品はどれも素晴らしい水準に達していると思う。その中でも本作とレッドと1stは
頭一つ抜きん出ている。しかし詩はピートの方が数段良いね。最近某雑誌で彼の写真を見たがロバート
ワイアットそっくりのお爺さんみたいになっていた。