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「負け組」の戦国史 (平凡社新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 平凡社
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ビジネス書でもなければ、流行りの「勝ち組」「負け組」論でもない。 ★★★☆☆
 『〈負け組〉の』などと銘打ってはいますが、格差論に絡めた勝ち組負け組の議論や、ビジネスマン向けに小賢しい教訓を垂れるような記述は隻言半句もありません。著者はかなりクセのある通説批判を書かれるようですが、読み物としてはそれがかえっておもしろい。
 私は日本史の史料を自分で読み込むことはできませんで、著者の史料批判が正確かどうか判断がつきませんが、歴史の「if」を考えさせるかなり野心的な著作となっています。
 著者の基本的なスタンスは「結果論」は避けなければならない、というところにあるため、史料に基づく敗者の具体的な事例研究をおこない、ある敗者の欠陥や失敗をさぐるという著述のスタイルになっています。が、その方法論で欠陥や失敗がなければ、または時期が時期であればそれが欠陥にならなかったという結論となれば、運次第で……と著者が主張しているようにも聞こえるのも事実。
忘れかけていた常識を思い出しました。 ★★★★☆
東軍は布石が素晴らしかったから勝つべくして勝った
西軍は凡庸な陣容だから負けた
そういうわけでもないだろうという気にはなりました。
能力や徳以外にも人が成功する要素があるのではないか
歴史好きほどそのことを忘れがちです。人物が好きなあまり返って鑑定眼を曇らせていたのではないかということが実感できました。同じようなことを松本人志氏も言ってました。
「信長って大したことないんちゃうんか」と
つまり危ない橋を渡りきれたということ、果たしてそれだけで当人の実力が保証されてしまってよいのかということです。これはつまり天に唾する行為であり自嘲の意も含んでいたという気がします。
そんな本です。
あと改易を食らっただけで族滅というわけではなさそうです。大名より待遇はかなり落ちますが武家として存続している家が多いのは意外でした。
日本的なゆるい処罰感覚は非常に美点であると再考した次第です。
忘れ去られる<負け組> ★★★☆☆
本書でいう<負け組>とは、すべて歴史に名を残した人々の話。
一時は勝ち組であったり、勝ち組に近かった人たちの転落の記録だ。

しかし、本当の<負け組>は、歴史に名を残さない。
緒戦で首をとられてしまった雑兵とか、飢えで死んでしまった百姓などは、
勝ち負けを争う前から最下層の<負け組>だ。
究極の<負け組>は、転落した支配者達ではなく、はじめから貧しい庶民達なのだろう。
戦国武将の紹介 ★★★★★
負け組といっても、元勝ち組だった人もいれば、誰にも見向きもされなかった人もいる。
様々な着眼点から戦国武将を解説している。

筆者が強調しているのは、現在の歴史観が「結果偏重主義」であるということ。

今だからこそ、誰が勝つか、どのような作戦が効果的かが分かるが、当事者には分からない。
勝ち負けは運が大きく、決して負け組が勝ち組に劣っていると主張している。

戦国武将への深い情熱が感じられる1冊。
鈴木氏らしい本 ★★★☆☆
鈴木真哉氏の通説論破系の一冊。実はこの本の書評についてはかなり困っている。長文になるがお許しいただきたい。
 
鈴木氏の特徴として“共著になるとよい本が多いのだが、氏単独で書かれると筆が滑る傾向がある”というのが上げられるが、今回も同じ弊害に陥ってしまっている。
……のだが、実はこの本は両極端に見る事ができるのだ。それは他のレビュアーの評価が真っ二つに割れている事からも伺い知れよう。
 
内容を簡単に説明すると、近畿区政権を軸としてそこに関係した他の戦国大名がどのように負けて行ったかを記した本。一応大まかに網羅してはいるが、奥州・四国・九州あたりにはちょっと触れたという程度。メインは織田政権後であり、関が原以降になると上記地区にも言及が増える。
滅びる理由も様々である。状況判断ミス、家臣の無駄な粛清、単純に運不運(病気になっていたせいで改易された人物がいるとは知らなかった)など、言い方は変だが多種多彩と言っていい。
実はここがレビューをする上で問題なのである。
 
歴史研究の観点で見ると確かに問題が多い。他のレビュアーの方も記されているが、資料の選択については正直疑問符がつく。意見も主観的なところが散見され、研究論文的な視点で見ても弾かれるかもしれない。
一方、単純に読み物として見ると、実はこれが面白い。他人の不幸は密の味と言うと言い過ぎかもしれないが、仕事疲れの頭で読むと苦笑したり笑えたり、研究書としては欠点の主観的な感想が逆に一読者の視点では面白いのだ。ジャンルがやや偏っている&中途半端に研究本的な完成度のため、まったくの初心者向きとは言いがたいが、司馬遼太郎作品あたりを愛読していれば読むのに苦労はしない。それどころか通勤電車の中でパラパラめくるにはむしろ最適と言っていいかもしれない。
つまり、研究書としては赤点すれすれ(嘘は書いてないので赤点ではない)だが、読み物のマーケティング的には合格点がついてしまうと言う、どうにもレビューのしにくい本なのである。
 
したがってレビューとしては中途半端になるが、どのようなスタンスでこの本に接するか? と言う視点で購入を考えて欲しい。
研究本としてはお勧めしがたいが、一読者としてこういう歴史もあるのか、と言う視点では非常に面白い本である。