保険論+リスクマネジメント論の定番教科書
★★★★☆
リスクマネジメントという言葉が脚光を浴びるようになって久しい。近年は金融工学や会計学といった分野からの進出が目立っているが、リスクマネジメントを最も古くから探求してきたのは紛れもなく保険学であろう。本書は、リスクマネジメント研究に精通する保険学者・経済学者の手による、保険論とリスクマネジメント論のコラボレーションを試みた意欲作である。前半ではリスクマネジメントの全体像を、後半ではリスク移転手段の一つである生命保険・損害保険を取り扱っており、まさに「リスクから出発する保険論」を地で行く構成になっている。
なお、タイトルには「はじめて学ぶ」とあるものの、執筆者が複数にわたるせいか記述に濃淡がみられる(特に第4部「社会保障」は記述が冗長・・・汗)ほか、文体も硬いため、お世辞にも分かり易いとは言い難い。むしろ、中級者以上がリスクマネジメント論を「はじめて学ぶ」のに最適という意味ではないかと思われる(汗)。とはいえ、現在では保険・リスクマネジメント論の定番教科書としての地位を確固たるものとしており、今回の第3版では、保険法の制定や、前版以降の医療制度改正(後期高齢者制度の導入など)に関する記述が手当てされている。