初心者向けの入門書
★★☆☆☆
確かに、内容的には良くまとまっていて、すっきりと整理された本ですが、いかんせん、記述は薄いです。物権法自体が民法のほかの分野に比べるとやや論点が少なく、見解の争いも少ない分野です、そのため、わざわざこういった入門書を読まなくても物権法はある程度までは理解できるものだと思います。物権法の難しさというのはその奥にあるもので、学生には理解しづらい「登記」の実務、借地借家法などの特別法の多さ、など物権法というのはその煩雑さ画理解しづらい部分だと思います。たとえば、占有改定と即時取得の問題、と一口に聞いても、なかなか学生には実感のわかないところであるし、それについて肯定説をとるにしても否定説をとるにしてもそれぞれの説のバックボーンや弱点がわかっていないと、理解しづらい部分があります。そういう意味で「初歩」といっても少なくとも物権法に関しては「Sシリーズ」くらいの濃度はほしかったと思います。ただ、他学部生や物権をこれから始めようという人が最初にざっと通読してしまうという意味では使いやすい本です。
「初歩から」と言っても水準が低い訳ではない。
★★★★★
物権法の内重要な問題を、概念から分かり易く解説するものである。
主要な学説についても触れられており、簡単なようで奥が深い。
一般の基本書に比べて分量は多くないが、それは重要でない論点や学説を思い切って省いたからである。
取り上げられている論点については十分な説明がなされており、決して水準が低い訳ではない。
また、債権法や行政法との関連も触れられており、有機的な把握に役立つ。
まったくの初心者から、Sシリーズ程度は理解している中級者ぐらいまでの人に特にお勧めだと思う。
物権法の難点を易しく解説
★★★★☆
物権法で特につまずきやすい点を二十五の項目にわけやさしく解説している。やさしい文体であるが内容は高度なところにも立ち入っているため何度も読み直してみなければわからない点もあるが、全体としてはわかりやすく書かれている。ぜひとも二冊目の参考書として活用したい一冊である。