素晴らしい仕事。
★★★★★
哲学の基本テキストが文庫化されたものですが、非常にわかりやすくて面白いです。
著者の著作は他にも少し読んだことがありますが、著者の文章は誠実というか、実直というか、ユーモアの欠片もなくて大好きです(笑)
本書のようなテキスト形式の本にピッタリ。
ソクラテス以前から始まって現代の哲学までの概説というような哲学史的なものはもちろん、初めの半分程は哲学することそれ自体の目的や方法についての解説になっていて本当に素晴らしい内容であり、何度でも読み返すことになると思います。
また、東洋思想にも触れているところに本書の特長を見出すことができるでしょう。
あとがきには、本書の対象は基本的には哲学の初学者だが、ある程度哲学を学んだ人達、さらには哲学の専門家にも読むに耐え得る書物だと書かれています。
この点、個人的には、『はじめて学ぶ哲学』という表題がつけられてはいるものの、本当に今まで哲学に一度も触れたことのないような読者が読むには少々キツいかと思いました。
一通り哲学に馴染んだ人が知識を整理するには格好の一冊だと思います。
哲学史の入門書
★★★★☆
比較的わかりやすい哲学史の入門書です。
著者の科学批判(その批判のしかたについて)等には疑問を持ちましたが、哲学史の概要を知るには良いと思います。
わかりやすく読みやすい
★★★★★
わかりやすく読みやすい。
正統派、つまりオーソドックスだ。
教科書的な哲学入門書の記述である。
だから高校倫理をある程度マスターした者が読むと良い。必ず、一段引き上げられると思う。
ただ、著者が現象学やハイデッカーの専門家なので、「根源性」への問い直しという視点が随所に見られる。
自分は、ここは、少しだけ、疑ってかかってしまう。
分析哲学やプラグマティズムを学習すると、ちょっと気にかかってしまう。
たしかに正統派、つまりオーソドックスなのだ。
だが、哲学の世界である。
私自身は懐疑主義。みなさんはどうだろう。
ある程度、ごく一部の学問であっても、それを深く探求した人ならば、この書を読んでほしい。
あなたと同じ深み、同じ高みが、それぞれの場所にある。
そしてそんな高いところから世界の知を双眼鏡で見ているような心境になるだろう。
こんな本はあまりない。
哲学か科学か
★★★★★
哲学の基本的な考え方を、古今東西の哲学史を踏まえて分かりやすく説明した格好の入門書。著者はもとより現象学系のハイデガーをライフワークにしているので、西洋哲学系の議論に傾かざるを得ないが、東洋哲学の解説も明快である。入門書と書いたが、実は多少読みなれた中級者が哲学の全体像を摑むのに絶好かもしれない。いづれにしても、哲学読みの哲学知らずを食い止める要諦を手際よくまとめている、一読に値する。